墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

ブログの紹介 (主な記事、Webサービス)

大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


[堀田量子] 付録Gの「隠れた変数理論」の謎

堀田先生の「入門/現代の量子力学」では、 付録Gで、CHSH不等式は破らない(-2~+2の範囲)が 1粒子では、量子力学の帰結と同じになる「隠れた変数理論」 が提示されています。 これについて、「レゲット・ガーグ不等式」の評価が できるかと考えると: htt…

ベクトルで表せない物理状態(密度行列)

清水明「新版 量子論の基礎」では 混合状態 のことは 書かれていますが、これの密度行列を用いた説明は避けられています。 「新版 量子論の基礎」では、 純粋状態: 原理的に許される最大限のところまで 状態を指定し尽くした状態 混合状態: どんな物理量を…

Note9. ベクトルの射影(射影演算子)

内積が定義されたベクトル空間に、 あるベクトル |v> と |a>があって、 |v>から |a>に平行な成分を抜き出す操作を |v>の |a>への射影といい、その演算子を射影演算子と呼びます。 平行な成分の値(複素数)は、内積<a|v> そのものです。 |a>に平行…

デルタ整数の実数ベクトルによる表現(実数ベクトルの射影)

初めて読む方は、↓を見て下さい。 kafukanoochan.hatenablog.com 整数nに対応するデルタ整数は、δ(x-n) です。 これは、縦・横の実数ベクトルを用いて δ(x-n) =<n | x> x,n∈R と書けます。 これは、実数ベクトル | x>における「nを取り出す作用素の…

波動関数が非局所的と言うのはおかしい(状態ベクトルの射影)

波動関数ψ(q)は、物理量Qの固有空間を { |q>}とすると、 ψ(q)|q> = |q><q|ψ> で定義されます。 つまり、状態ベクトルをQの固有空間へ射影したものです。 そして、状態ベクトルは、シュレーディンガ方程式: ih'd/dt |ψ>=H |ψ> に従って、時間発展する…

量子力学、場の理論、超弦理論の共通理論「局所1次元場の理論」

量子力学、場の理論、超弦理論 の違いを基本変数で見ると、、、 量子力学: 基本変数が「粒子」の位置や運動量とかの物理量演算子と その正準共役演算子 (場の理論との比較で「粒子」と言っています) 場の理論=多体問題の量子力学: 基本変数が x,y,z空間…

教科書の間違い「量子的粒子は、波でも粒子でもある」

波動関数ψ(q)は、状態ベクトルの射影|q><q|つまり ψ(q)|q> =|q><q|ψ> で定義され、 「粒子が持つ状態の情報」を意味します。 これは、「粒子は区別する情報を持たない」と同レベルな話です。 |x> への射影の波動関数ψ(x)なら 空間内の1点を占め…

状態がAとBの重ね合せの時「Aである」か「Bである」かという2値論理は適用できない

もちろん、測定したら「Aである」か「Bである」かのどちらかになります でも、その時は、重ね合せではありません。 この議論は、重ね合せになってる時=測定前の話です。 したがって、状態A,Bは、2次元ベクトル(α、β) で表されます。 この場合、確実に=100…

前紀世の残務整理(まとめ)

私は、「学生の頃の量子力学への憧れ」いわば「青春の尻尾」を、 50になって追っかけていたのですが、ほぼ目処がたったので、 ここで「前世紀の残務整理」としてまとめます。 1.∞高さ壁の箱の中のψ(p) 前世紀の教科書は、誤っています。 pは、正の一定…

放送大学の教科書「量子物理学」の気になる所

1.p33 下段 (2.15)式 ΔxΔp_x>h'/2 の説明: 「これ以上正確に同時測定できない」 は誤り。同時測定なら ΔxΔp_x>h' である(新版量子論の基礎p86) (2.15)式は、同一状態のアンサンブルに対し、 xでの測定、pでの測定を別々に行った場合である。 2…

量子力学で相対論を考える (1)

まず、特殊相対論から、 s2 = (ct)2 - (x2+y2+z2)=一定 を、内積に計量テンソルgをつけて s2 =gμn・μn n=0,1,2,3 これを量子化(νn=-ih' ∂/∂μn)して ∂2/∂(ct)2 - (∂2/∂x2+∂2/∂y2+∂2/∂z2) =∂2/∂s2 と置く。 これと、クラインゴルドンの方程式とを見比べる…

観測者の存在の必要性

「観測者の意識の必要性」を最初に見出したのはフォンノイマンで 観測者の観測にょって、フォンノイマン鎖が終結します。 ここでは、何故、観測者の存在が必要か説明します。 尚、EMANさんの記事: 量子雑談 観測の何が状態を確定させるのか|EMAN|note も…

射影仮説の定義

清水明「新版 量子論の基礎」p102より。 測定直前に|ψ>なる状態ベクトルを持っていた系に、 物理量Aの理想測定(=射影測定)Pを行い、 測定値がAの固有値の1つaであったとする。 その場合、測定直後の状態ベクトル|ψ’>は、 P(a)|ψ>が規格化されてい…

量子力学に測定が必須であることの証明???

アリスの測定結果を「測定しない場合」も含めて a|結果アリス>+b|未測定アリス> と書いた時、a=0、 b=1なら 測定系の状態自体が消滅することを証明します。 これは、量子力学に測定が必須であることを意味します。 (消滅するというのは冗談です。はい) |…

何故、アリスの測定結果にボブの結果が一致するのか

量子もつれ対を測定する場合と、1つの対象系を複数の観測者 が測定する場合で、アリスが最初に測定した時、 「アリスの測定結果にボブの結果が100%相関する」 ことを証明します。 尚、「値がすでに1つに決まっている」からではないです。 1.もつれ対A,B…

もつれ対で、 誰かが一方を測定した直後、もう一方を測定する人の状態

量子もつれ対A,Bにおいて、誰かが一方の電子Aを測定したら、 もう一方の「測定前の人にとってのBの状態」 に対しても「値がすでに1つに決まってしまう」 とか「値は確定するが分からないだけ」 などと、専門家でもそう考える方は多いと思います。 仮に、ア…

波動関数は観測者毎に異なることの証明(背理法)

波動関数は測定対象系に付属しているのではない(観測者毎に異なる) - 墓所の虫 で、 堀田先生のブログを引用したり、フォンノイマン鎖を使って 波動関数(状態)や、その収縮には、 観測者毎に異なる場合があることを説明したのですが、 これは、証明ではない…

波動関数の定義は<q|ψ>なので、スピンにも波動関数が言える

スピンには、波動関数はないとよく言われます。 しかし、スピンの状態が1つの固有状態に収縮して値が 確定した時は、スピンの確率密度が、その値の所で δ関数になります。 確率密度は、一般にψ*(q)ψ(q) ですから、 スピンにも波動関数が言えるはずです。 …

測定でのもつれ状態に 観測者の状態 が入ることの証明

例えば、観測者を o とすると、 という式が、多世界解釈では、よく出てきます。 でも、この「測定でのもつれ状態に 観測者の状態 が入る式」は、 多世界解釈だけのものではなく、コペンハーゲン解釈でも言える ことを証明します。 https://as2.c.u-tokyo.ac.…

波動関数は測定対象系に付属しているのではない(観測者毎に異なる)

僕は、昭和の頃、波動関数(状態)は測定対象系に付属する かのように習いました。 学部で、初めて量子力学を学ばれる方も、最初はそう思う のではないかと思います。 昔の教科書で学ばれた先生にも、まだそう思っている方もいます。 しかし、 波動関数(状態)…

情報の定義と観測者にとっての「情報の意味」の定式化

情報量の定義は、明確に書けます。以下の確率pと情報量Iの関係です。 (ここでいう情報量は、情報エントロピーのことでは、ありません) 情報の定義は、ここでは、 測定して「分からなかったことが、分かる」 =観測者の持つ系の知識が増える =系の「情報…

量子論の「測定」の定義。狭い意味と広い意味

量子論で言う「物理量」は、自己共役なエルミート演算子 のことです 平均値=∫ψ(x)*Aψ(x) dx や弱値とかのように、測定するのに 1個1個の測定結果を保存しあとで、データ処理する「統計的量」 は、物理量に含みません。 統計的量には、測定するのに、波動…

粒子集団から集団の性質としての情報を得るとは?

これは「量子状態を持つ個々の粒子から情報を得る」話 とは、全然違います。 ここで、「物理量」「統計的量」「測定」を、↓で定義します。 量子論の「測定」の定義。狭い意味と広い意味 - 墓所の虫 標記の「粒子集団」として、とりあえず コヒーレントでなく…

Note8.固有値と固有ベクトル(固有空間)、対角化

1.固有値と固有ベクトルの定義 線形変換T:V→V とする。 T(u)=λu (u∈V u≠0 λ∈R) となるλを固有値と呼び、 uを固有値λに属する固有ベクトルと呼ぶ。 2.行列の対角化 行列Bを線形変換T(B)により、対角行列A にすることを 行列の対角化という。 ベ…

シュレーディンガ方程式からエーレンフェストの定理を導く

簡単です。 まず、シュレーディンガ方程式から「期待値の方程式」を導く - 墓所の虫 により、 d/dt <A>= i/h'<[A, H]> が言えます(Aは時間に依存しない演算子) それで、A=x の場合 d/dt <x>= i/h'<[x, H]> [x, H]=h'p / i m ∴ <v>=<p>…

シュレーディンガ方程式から「期待値の方程式」を導く

シュレーディンガ方程式: ih'∂t ψ=Hψ、 -ih'∂t ψ*=(Hψ)* より、Aを時間に依存しない演算子として、ψ*Aを左から掛けて (ψ*A)ih'∂t ψ=ψ*AHψ Aψ を右から掛けて -ih'∂t ψ*Aψ=(Hψ)*Aψ 上から下を引いて ih'(ψ*A)∂t ψ+ih'∂t ψ*Aψ=ψ*…

ヒルベルト空間 ≠ 状態が成す空間

ヒルベルト空間は、ベクトル空間に内積を入れて(追加して) 完備にしたものです。 したがって、 0ベクトルを含み、c1V≠c2V です。 しかし、状態が成す空間は、

Note10.双対空間(縦ベクトル・横ベクトル)

これまでは、単にベクトルとして言ってきましたが 量子力学では、ケットは、縦ベクトル、 ブラは、(同じ次元の)横ベクトルの2つがあり、 <x|ψ>= ψ(x) スカラー(の関数) なんてやります。 これが、何故、言えるか考えてみます。 そんなこと、当たり前だろ!! </x|ψ>…

マクロな物理量の条件は?(何故アボガドロ数あれば十分か)

これは、清水明「新版 量子論の基礎」p108 脚注の問いです。 粒子の集団が「マクロ」と言えるのは、アボガドロ数あれば 異存はないでしょうが、 では、「10^12 個では? 10^6 個では? 10^3 個では?」 という問いです。 何故、アボガドロ数あれば十分か…

線形変換と群(一般線形群)

線形変換 定義:体K上のベクトル空間Vがあって、 写像T:V→Vが、次の条件を満たす時、線形変換という (1) T(u+v)=T(u)+T(v) u,v∈V (2) T(cu)=c T(u) u∈V c∈K 要は、線形写像T:U→Vにおいて、V=Uとしたものです。 これを、図で書くと、 U -(A)→ U | | P …