墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

ブログの紹介 (主な記事、Webサービス)

大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


量子力学の理解のために(線形代数)

Note9. ベクトルの射影(射影演算子)

内積が定義されたベクトル空間に、 あるベクトル |v> と |a>があって、 |v>から |a>に平行な成分を抜き出す操作を |v>の |a>への射影といい、その演算子を射影演算子と呼びます。 平行な成分の値(複素数)は、内積<a|v> そのものです。 |a>に平行…

Note8.固有値と固有ベクトル(固有空間)、対角化

1.固有値と固有ベクトルの定義 線形変換T:V→V とする。 T(u)=λu (u∈V u≠0 λ∈R) となるλを固有値と呼び、 uを固有値λに属する固有ベクトルと呼ぶ。 2.行列の対角化 行列Bを線形変換T(B)により、対角行列A にすることを 行列の対角化という。 ベ…

Note10.双対空間(縦ベクトル・横ベクトル)

これまでは、単にベクトルとして言ってきましたが 量子力学では、ケットは、縦ベクトル、 ブラは、(同じ次元の)横ベクトルの2つがあり、 <x|ψ>= ψ(x) スカラー(の関数) なんてやります。 これが、何故、言えるか考えてみます。 そんなこと、当たり前だろ!! </x|ψ>…

線形変換と群(一般線形群)

線形変換 定義:体K上のベクトル空間Vがあって、 写像T:V→Vが、次の条件を満たす時、線形変換という (1) T(u+v)=T(u)+T(v) u,v∈V (2) T(cu)=c T(u) u∈V c∈K 要は、線形写像T:U→Vにおいて、V=Uとしたものです。 これを、図で書くと、 U -(A)→ U | | P …

ベクトル空間→バナッハ空間→距離空間(距離関数の計量)

ベクトル空間 K上のベクトル空間とは、和とスカラー倍が定義された空間(集合)で (f+g)(v)=f(v)+g(V) (f,g∈V v∈V) (cf)(v)=cf(v) (c∈K) V ≠ φ が成り立つVです。 (スカラー倍といっても、cは逆数でもいいので割り算も有りです) ノルム…

Note11.完備な内積空間(ヒルベルト空間)

K上のベクトル空間とは、和とスカラー倍が定義された空間(集合)で (f+g)(v)=f(v)+g(V) (f,g∈V v∈V) (cf)(v)=cf(V) (c∈K) V ≠ φ が成り立つVです。 (スカラー倍といっても、cは逆数でもいいので割り算も有りです) したがって、Kが、…

Note10.内積空間(標準内積とエルミート内積)

Preヒルベルト空間というべき内積空間をやります。 タネ本は、新井朝雄「量子力学の数学的構造 Ⅰ」です。 1.内積空間の定義 Fを、実数体Rまたは複素数体Cとし、HをF上のベクトル空間とする (Rの場合は標準内積空間、Cの場合はエルミート内積空間です)…

Note7.表現行列

1.表現行列 定義: Tがベクトル空間UからVへの線形写像とする。 Uの基底を{u1,,,un}、 Vの基底を{v1,,,vm} に選ぶ。 T(u1)、、、T(un) は、Vのベクトルであるから v1,,,vmの1次結合で書ける。 これを、行列Aを用いて、 T(u1)、、、T(un)=(v1,,,vm)A A…

Note6.線形写像の像と核

Tが、ベクトル空間UからVへの線形写像である時、 Tの像:Im(T)={T(u) | u∈U} Tの核:Ker(T)={u∈U | T(u)=0 in V} という。 Tの像とは、平たく言えば、T(u) の集合 (⊂V) Tの核とは、平たく言えば、T(u)=0 という連立方程式の解空間 となるuの集合 (⊂U)…

Note5.線形写像

線形写像とは、ベクトル空間のベクトルを変換して新しいベクトル空間に 写像(Map)するものです。 (線形変換とは、新しいベクトル空間でなくて元の空間の場合) 線形写像 定義:R上のベクトル空間U、Vがあった時、この間の写像T:U→Vが 次の条件を満たす時、線…

Note4.基底と次元、基底に関する座標

ベクトル空間に、やっと基底と次元が出てきました。 ベクトル空間の生成 ベクトル空間Vのベクトルv1,v2,、、、vN が Vを生成するとは、 「v1,v2,、、、vN∈V において、Vの全てのベクトルu が、v1,v2,、、、vNの1次結合で表されること」 を言う(まだ、1次…

Note3.1次従属と1次独立

1次結合と1次関係 V:ベクトル空間 v、u1~uN ∈ V aN ∈ R (N=1,2,3、、、)において v=a1u1 + a2u2 + a3u3 +、、、aNuN で表される時 vは、u1~uN の1次結合で表される という。(まだ「基底」の話じゃないです) この時の u1~uN において、 c1u1 +…

Note2.ベクトル空間

ベクトル空間とは 平面ベクトルや空間ベクトルの全体の集合を抽象化した概念であり しかるべき性質を満たす「和とスカラー倍」が定義された集合。 高校で言うベクトル「大きさと方向が定義されたもの」というのは 早く忘れて下さい。 (単にベクトル空間とい…

Note1.用語・概念の説明

1.集合(Set) 集合Sに含まれる要素Aを「元」といい、A∈S と書く。 2つの集合 S、T において、 「A∈S ならば A∈T」が成り立つ時、集合Sは集合Tに含まれる といい S⊂Tと書く。 S⊂T の場合、集合Sの 部分集合(Subset)と呼ぶ 和集合(Union) S U T と書く …

密度行列

純粋状態(|1>、|2>、、、|j>、、、)にある物理量Aを、 射影測定した結果 <j|A|j> を考えてみます。 アンサンブルの平均値<A> は、 それぞれの確率を w_j とすると、 これに、1=Σb |b><b| 1=Σc |c><c| を挿入すると、 順序を入れ替えて、 ここで、Σj </j|a|j>…

距離空間の定義とユークリッド空間

距離空間と距離関数 集合X(ベクトル空間でもよい)において、x、y、z∈X とすると どのようなx、yにも負でない写像ρ(x、y)が対応し、 且つ、 次の条件が成り立つ時、距離空間と呼ぶ。 (1) ρ(x、y)≧0 で、等号は、xとyが同じ元のときに限られる (2) ρ(x、y)=ρ(y…

距離空間の完備化(4)

距離空間の完備化の残り(写像:X→C(X)~) 前回で、C(X)~で定義されるd~は、C(X)~上の距離関数であることが言えました。 したがって、距離空間の定義から、C(X)~は、距離空間です。 X: 距離空間(完備かどうかは言えない)これを完備化した集合を見つけ…

距離空間の完備化(3)

「C(X)/~ の距離をどう定義するか」の証明 C(X)とは、距離空間Xの基本列全体の集合のことです。 この記事は、前回: の「C(X)/~ の距離の定義」が正当であることの証明です。 そのために、 (1) C(X)の2つの元(基本列)、(xn)(yn)に対して n→∞:(ρ(…

距離空間の完備化(2)

C(X)/~ の距離をどう定義するか C(X)とは、距離空間Xの基本列全体の集合のことで、 この記事は、 http://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/62700932.html Murakuさんの 問3:このときXの距離ρによりC(X)/~にも自然に距離が定義されることを示せ。 の答え…

距離空間の完備化(1)

例えば、有理数の集合Qにおいて、QxQとユークリッド距離ρを対にした距離空間(QxQ、ρ)とすると、 基本列{x_n}の収束する点が、有理数の組の点とは限りませんので、(QxQ、ρ)は、完備ではありません (1次元(Q、ρ)でもダメです) また、実数の集合Rに…

はじめに4.ベクトル・行列の演算と順序

ベクトル、行列の和 要素どおしを足す。 ベクトル、行列の定数倍 すべての要素を定数倍する 行列の関数 行列には、和と積が定義されるので、テイラー展開が定義でき 「関数にする」ことができます(例えば、行列の√ や exp) 詳しくは、あとで説明します。 …

はじめに3.行列内の無意味な情報(行列の簡約化と階数)

行列内に、要素が全て0の行や、同じ行があれば、 その行は無意味でしょう。 行列内に「意味を持つ行がいくつあるか」が、ランク(階数)です。 そのためには、行列を「情報を保ったまま変形」してみて (この変形を、基本変形 という) 意味のある情報を持…

はじめに2.行列の掛け算からベクトルの掛け算へ

行列の積 行列の掛け算は、前の行(横)に、後の列(縦)を掛けて行きます。 例えば、 なのですが、以下を見て練習してください。 www.youtube.com これが分かれば、ベクトルの積も同じことで、 ベクトルの内積 横ベクトル(1行だけの行列)に、縦ベクトル…

はじめに1.ベクトルの縦・横、ブラケット表記

註: ブラケット表記を、早い時点から使いたいので、 「数学は、ベクトル空間の定義から」と割り切って、まず初めに 行列を導入し、それにより、縦ベクトルと横ベクトル を定義します。 ベクトルの厳密な定義は、あとで「ベクトル空間」の節でします。 また…