墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


Note2.ベクトル空間

ベクトル空間とは
   平面ベクトルや空間ベクトルの全体の集合を抽象化した概念であり
   しかるべき性質を満たす「和とスカラー倍」が定義された集合。
   高校で言うベクトル「大きさと方向が定義されたもの」というのは
   早く忘れて下さい。
   (単にベクトル空間といった場合は、ノルムや内積の定義は関係ない)

1.体
     例えば実数体複素数体の上に、ベクトル空間を定義する。
     例; x1,x2,x3、、、を実数とすると、
        (x1,x2)     。。。平面ベクトル  →R2
        (x1,x2,x3)     。。。空間ベクトル  →R3
        (x1,x2,x3、、、)  。。。無限次元ベクトル  →R^∞
     ただし、ベクトル空間を定義するには、実数体に限る必要はない。
     体の定義: +-X÷ が定義されている集合
     例: 
        Q(有理数の集合)、R(実数の集合)、C(複素数の集合)
         (自然数の集合N や 整数の集合Zはダメ)
        F2={0,1}   0と1だけからなる集合
        注:F2を(0,1)と勘違いしないこと

2.ベクトル空間の定義
     体kに対し、集合Vが、k上のベクトル空間であるとは、
     (1) 任意のu,v∈V に対し u+v∈V
     (2) 任意のu∈V、任意のa∈k に対し a・u∈V
     ただし、上記の 和とスカラー倍は、以下を満たしていること
     u,v,w∈V, a,b∈k に対し、
     u+v=v+u       。。。和の交換則
     (u+v)+w=u+(v+w)  。。。和の結合則
     u+0=0+u=u     。。。0元の存在
     (a・b)・w=a・(b・w)  。。。スカラー倍の結合則
     (a+b)u=a・u+b・u  。。。スカラー倍の分配則
     a(u+v)=a・u+a・v   。。。スカラー倍の分配則
     1u=u         。。。単位元の存在
     0u=0        。。。0元の存在
     注:積の交換則は要求されない(Cn は満たさない)

3.記法
    例:体kに対し、ベクトル空間をVとすると、
    V={ (x1,x2) | x1,x2∈k } 
    これを、
    k2={ (x1,x2) | x1,x2∈k } と書く。
    一般に、
    kn={ (x1,x2,,,,xn) | x1,x2,,,xn∈k } 
    これを、n次元のベクトル空間 と呼ぶ
    Rn={ (x1,x2,,,,xn) | x1,x2,,,xn∈R } 
    これを、n次元の数ベクトル空間 と呼ぶ

4.例
  (1) 実数係数の多項式 全体の集合
      これをAとすると、Aは、定義によりベクトル空間
    記法
      A={f(x)|f(x)=a0+a1x+a2x2+,,,,an xn 
            a0,a1,a2,,,,an∈R
            n=0,1,2,3,,,,,
        }
    これを、R[x]={f(x)|f(x)=a0+a1x+a2x2+,,,,an xn
            a0,a1,a2,,,,an∈R
            n=0,1,2,3,,,,,
           }
    と書く。
  (2) 区間a、bで定義された連続な関数 全体の集合
    これをAとすると、Aは、定義によりベクトル空間
    Aを、C(a、b)= {f(x)|区間a、bで定義された連続関数f(x) }
    と書く。

  (3) スカラー全体の集合
   A={f(x)|f(x)=x x∈R }={x|x∈R }は、
   定義により、R上のベクトル空間 
   つまり、スカラー全体の集合も、ベクトル空間を成す!
   これは、Rnにおいて、n=1とした場合でもある。