墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


密度行列

純粋状態(|1>、|2>、、、|j>、、、)にある物理量Aを、
射影測定した結果 <j|A|j> を考えてみます。

アンサンブルの平均値<A> は、 それぞれの確率を w_j とすると、
   https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 <\! A \!> = Σ_j w_j <\! j|A|j \!>
これに、1=Σb |b><b| 1=Σc |c><c| を挿入すると、
   https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 <\! A \!> =Σ_cΣ_b Σ_j w_j<\! j|c><c|A|b><b|j \!>
順序を入れ替えて、
   https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 <\! A \!> =Σ_cΣ_b <b|Σ_j w_j |j><j|c><c|A|b>
ここで、Σj w_j |j><j| は、アンサンブルの混合の状態を表している。
これを、ρとおくと、上記は、
   https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 <\! A \!> =Σ_cΣ_b <b|ρ|c><c|A|b>
   https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 =Σ_b <b|ρA|b>
ρAを1つの行列Xと見ると、これは対角和の計算:
Σ
b X_bb=Σb <b|X|b> になっている。
したがって、
   https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 <\! A \!> =Tr(ρA)
一般に、このρ=Σ
j w_j |j><j| は系の状態を表しており、
密度行列という。

1.密度行列の定義

   以下の3条件を満たす作用素ρを密度行列と呼ぶ
   (1) ρ=ρ†  
       つまり、自己共役演算子であること
   (2) ρは、半正定値作用素である
       つまり、任意のベクトル|J>に対して
       <J|ρ|J> ≧0 ということ 
   (3) Tr(ρ)=1 
       つまり、規格化されていること
   自己共役演算子は、スペクトル展開定理が適用できるので
   上記の条件を満たせば、
   ρ=Σj w_j |j><j|     Σj w_j=1 
   と書ける。
   その場合、w_j はρの固有値であり確率です。

2.密度行列の性質

 (1) 密度行列が純粋状態を表す時
   (混合してない=対角項のどれかが1で他は0の場合)
   |j><j|ψ> という固有ベクトルが存在し、
   その時に限り、ρ=ρ2(2回しても結果は同じ)

   そうでない時 (対角項のどれも<1)
   ρ2=Σk w_jw_k |j><j|k><k| ≠ ρ 
   また、Tr(ρ2)<1 

 (2) 密度行列は、一般に ρ=Σ_j w_j |j><j|という形の
   一意な分解を与えない。
    例えば、
      https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 ρ={1/2} \matrix(1 & 0;0 & 0)+{1/2} \matrix(0 & 0;0 & 1)
      https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 =\matrix(1 & 0;0 & 1)
      https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 ={1/2} \matrix(1 & 1;1 & 1)+{1/2} \matrix(1 & -1;-1 & 1)
   ということで、一意になりません。
   つまり「実験結果は、特定の直交系だけで解釈できない」
   ということです。

   逆に、多くの直交系のデータを採れば、
   系の状態を特定できます。
   これが、量子状態トモグラフィーです。

 (3) 混合状態「アンサンブルの1つ1つの状態が重ね合わせでなく
   その確率がわかっている状態」の場合
   (例えば、重ね合わせ状態を射影測定したアンサンブルの場合)
   この場合、密度行列は、対角項だけになります。
   そうでない場合は、非対角項に ≠0の成分が現れます。
   (非対角項は、状態間の干渉を表します)