墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


Note8.固有値と固有ベクトル(固有空間)、対角化

1.固有値固有ベクトルの定義
   線形変換T:V→V とする。
   T(u)=λu   (u∈V u≠0 λ∈R)
   となるλを固有値と呼び、
   uを固有値λに属する固有ベクトルと呼ぶ。

2.行列の対角化 
   行列Bを線形変換T(B)により、対角行列A にすることを
   行列の対角化という。

   ベクトル空間Vの基底を u1、u2、、、uN とする。
   この時 T(ui)=λui(つまりTの固有ベクトル)となっていたなら
   T を行列で表すと、対角要素を λi とする対角行列Aになる。
   この行列A は、図で書くと、
     U -(A)→ λU 
     |     |
     P      P   P:恒等写像
     ↓      ↓
     U -(B)→ U 
   の関係であり、
   左上端から右上端に行ったのと、下を通って行ったのが
   同じ結果になることから、
       A=T(B)=P^-1BP  
   が言える。
   この 対角行列Aを求めることは、即ち P^-1BPの行列P
   を求めることに等しい。
   Pは、上記より、(u1、u2、、、uN)という行列となる。
   特に、A、Pが実数行列なら「Bは実数体上で対角化される」という。

   実際の対角化計算は、行基本変形 で行うのが普通です。
   線形代数のEssence 05-1.行列の基本変形(前編) - YouTube

3.固有空間の定義
   1において、固有値λに対して、
   集合W(λ、T)={u∈V|T(u)=λu}とおき、
   このWをTの固有値λの固有空間という。

問題5.3-5(p105)
   2において、W(λ、T)は、Vの部分空間となることを示せ。
   証明: 部分空間となる3条件を示せばよい。
     条件1 T(0)=0 - λ0 であるから 0∈W(λ、T) 
     条件2 u,v∈W(λ、T)とする。T(u+v)=T(u)+T(v)=λ(u+v)
         したがってu+v∈W(λ,T) 
     条件3 c∈Rとする。T(c u)=T(c u)=λ(c u) 
         したがって c u∈W(λ,T) 
   //

4.固有多項式
   定義: nxnの正方行列Aに対し、
     gA(t)=|tE - A|  
     という行列式の結果の多項式を固有多項式という。
     gA(t)の根 λ1、λ2、、、λn が 行列Aの固有値になる
   証明: 
     vを固有値λの固有ベクトルとする。つまり、Av=λvである。
     したがって、(tE - A)=0 となる。
     vは0ベクトルでないので、|tE - A|=0でなければならない。

5.特別な行列の対角化

   エルミート行列
   定義
     ・Aは、正方行列である
     ・A=A* が成り立つ(A*とは複素共役をとって転置)
   この定義が成り立つ実数行列を 対称行列 と言います。
   エルミート行列と対称行列をまとめて対称行列と呼ぶ文献
   もあります。

   定理9.2.2 エルミート行列の固有値は実数である
   証明 (後日)

   ユニタリ行列
   定義
     ・Uは、正方行列である
     ・U*U=I が成り立つ(U*とは複素共役をとって転置)
   この定義が成り立つ実数行列を 直交行列 と言います。

   定理9.2.10 ユニタリ行列Uは、エルミート行列Aを対角化する
        U^-1 A U は、対角行列になる。
   証明 (後日)