墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


演算子の関数

時間発展の演算子:U(t)=exp(H t/ih’) ですが、
これは「ハミルトニアン演算子の関数」です。
この記事では、演算子の関数について書きます。
演算子の関数では、例えば、微分演算子の√とかも考えることができます)

タネ本は、清水明「新版 量子論の基礎」p57の「スペクトル分解と演算子の関数」です。

1.まず、演算子Aのn乗

     An = AAAAA、、、 (n個)
     A0 = 1      (1は、Aが行列表現なら単位行列

     とすれば、演算子の積として矛盾はない。      

2.演算子A、Bの線形結合の定義

     c1、c2 を任意の複素数とすると
     (c1A + c2B)|ξ> = c1A|ξ> + c2B|ξ>
     により定義する。

3.以上から、演算子の任意の多項式

     c0+c1A + c2A2+c3A3+、、、
     が定義できる。

4.任意の演算子Aは、正規直交完全系を成すベクトルaへの射影演算子|a><a†|の線形結合で表すことができる
   証明:
      Aの左右に1(行列表現なら単位行列)を掛けても変わらない。
      完全性定理より、1=Σ{a}|a><a|=Σ{a†}|a†><a†|
      したがって、
      A=1A1=Σ{a†}Σ{a} |a><a|A|a†><a†|
       =Σ{a†}Σ{a} <a|A|a†> |a><a†|
       ここで、<a|A|a†> は、数である //

5.4において、Aが自己共役演算子なら、
  その固有ベクトルaは、完全系を成すので、
  固有ベクトルaで作られる射影演算子|a><a| の線形結合で
  表すことができる
  これを「スペクトル分解」という。

  この場合、係数<a|A|a†>は、クロネッカδ_{a、a†}なので
  固有値をαとすると、
     A=Σ{a} α |a><a|
  と表せる。
  意味は、A|ξ>=Σ{a} α |a><a|ξ> を考えると
  |a><a|ξ> は、|a>に平行な成分であり、
  それに、固有値を掛けることは、Aを演算すること
  と同じである。

6.3および5より、関数f(α)に対して、
  自己共役演算子Aの関数f(A)を

     f(A) = Σ{a} f(α)|a><a|

  と定義できます(これで計算もできます)

例:  
   √A = Σ{a} √α |a><a| 
   exp(i H) = Σ{a} exp(iα)|H><H|