演算子の関数
時間発展の演算子:U(t)=exp(H t/ih’) ですが、
これは「ハミルトニアン演算子の関数」です。
この記事では、演算子の関数について書きます。
(演算子の関数では、例えば、微分演算子の√とかも考えることができます)
タネ本は、清水明「新版 量子論の基礎」p57の「スペクトル分解と演算子の関数」です。
1.まず、演算子Aのn乗
An = AAAAA、、、 (n個)
A0 = 1 (1は、Aが行列表現なら単位行列)
とすれば、演算子の積として矛盾はない。
2.演算子A、Bの線形結合の定義
c1、c2 を任意の複素数とすると
(c1A + c2B)|ξ> = c1A|ξ> + c2B|ξ>
により定義する。
c0+c1A + c2A2+c3A3+、、、
が定義できる。
4.任意の演算子Aは、正規直交完全系を成すベクトルaへの射影演算子|a><a†|の線形結合で表すことができる
証明:
Aの左右に1(行列表現なら単位行列)を掛けても変わらない。
完全性定理より、1=Σ{a}|a><a|=Σ{a†}|a†><a†|
したがって、
A=1A1=Σ{a†}Σ{a} |a><a|A|a†><a†|
=Σ{a†}Σ{a} <a|A|a†> |a><a†|
ここで、<a|A|a†> は、数である //
5.4において、Aが自己共役演算子なら、
その固有ベクトルaは、完全系を成すので、
固有ベクトルaで作られる射影演算子|a><a| の線形結合で
表すことができる
これを「スペクトル分解」という。
この場合、係数<a|A|a†>は、クロネッカδ_{a、a†}なので
固有値をαとすると、
A=Σ{a} α |a><a|
と表せる。
意味は、A|ξ>=Σ{a} α |a><a|ξ> を考えると
|a><a|ξ> は、|a>に平行な成分であり、
それに、固有値を掛けることは、Aを演算すること
と同じである。
6.3および5より、関数f(α)に対して、
自己共役演算子Aの関数f(A)を
f(A) = Σ{a} f(α)|a><a|
と定義できます(これで計算もできます)
例:
√A = Σ{a} √α |a><a|
exp(i H) = Σ{a} exp(iα)|H><H|