墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


ハミルトニアンの曖昧性(ワイル順序)

古典ハミルトニアンから量子力学ハミルトニアン
一意に定めることは、一般にはできない旨、
清水明「新版 量子論の基礎」にあります。

例えば、古典的物理量に 2q2p2 という項があった場合
そのままでは自己共役演算子でないので、
qp2q^+pq2p^ として自己共役演算子にしますが
qpqp^+pqpq でも正しいです。
(古典ハミルトニアンとしては同一)
でも

    両者の与える結果は異なります(両者の差は、-(qp^-pq^)2=h’2 です)

さらに、2q4p2という項があるとして、
上の例の左右にq^をかければ、自己共役に
なりますが、結果の差は、h’2q2 で、演算子になりさらに深刻です。
これを、「順序の問題」といいます。

もっと単純に、調和振動子ハミルトニアンに (pq^-qp^)を付け加えた場合、
古典的ハミルトニアンでは、0の項ですから、何の影響もでませんが、
量子力学では、pq^-qp^≠0 ですから、結果は、付け加えない場合と異なります。

経路積分の場合、その導出の途中で、
|q><q|と|p><p| を挿入します。
直接pやqを掛けるわけではないですが、
「順序の問題」が残ります。

  https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 K(t-t0)=<q|{(e^{H ε/ih})}^N |q0>

に、|q_j><q_j|と|p_j><p_j|を挿入して、
テーラ展開すると、順序の問題を引き起こすことになります。
これを避けるため、

  -iτ/h’<p_j | H(p、q) | q_j>

を「ワイル順序」によって、

  -iτ/h’<p_j | q_j> H(p、Q)  
      ただし、Q=1/2 (q_j+1 + q_j) つまり平均値

として、処理します。