堀田先生のステイホーム問題
問題は、これです。
量子力学の無限井戸型ポテンシャル問題を考えます。井戸の幅をaとするならば、井戸に閉じ込められた粒子の位置の揺らぎΔxもaより大きくなりません。しかし不確定性関係を考えると、運動量の揺らぎΔpを零に近づけるとΔxは無限大になって矛盾します。さて、何がおかしいのでしょうか?#ステイホーム勉強 pic.twitter.com/H3P887MSJN
— Masahiro Hotta (@hottaqu) 2020年4月26日
ちょっと補足すると、井戸内の粒子の運動量pを射影測定すると、pの揺らぎΔpは0、 もっと緩い測定でも、Δpが十分小さいなら、不確定性関係を考えると、 位置の揺らぎΔxは、井戸の幅a を越え、井戸の外(ψ(x)=0)でも粒子が、 検出される
というパラドックスです。
この記事では、あえて 堀田先生の前提に反論する形で議論します。
(決して堀田先生にケンカを売るつもりではなく)
僕の真意は、別の前提で、堀田先生のアプローチを補強するものです。
この系の位置表示のシュレーディンガ方程式は、定常状態とすると
Eψ(x) = -h'^2/2m ∂2/∂x2 ψ(x)
解は、x<0 と x>a で0 として
ψ(x) =c1 sin(bx) と置きます。
この運動量の期待値は、p= -ih' ∂/∂x とすると
=∫ dx [ψ*(x) p ψ(x)]
ですが、堀田先生は、ψ(x)の境界条件は、定義域の端で0
一方、p ψ(x)という関数は、定義域の端で0 にならない。
境界で消えるという条件を満たす波動関数に運動量演算子を作用させると、微分係数が出てきますから、それは境界で消えません。元は境界で消える関数を考えて、状態空間を作ったはずなのに、運動量演算子をかけるとその空間の外に飛び出してしまいます。ですから本当は演算子ですらなかったのです。 pic.twitter.com/gywhasCEFX
— Masahiro Hotta (@hottaqu) 2020年9月8日
境界条件が同じにならないので、この場合の p= -ih' ∂/∂x は、自己共役演算子でない。
と結論しています。