墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


Note10.双対空間(縦ベクトル・横ベクトル)

これまでは、単にベクトルとして言ってきましたが
量子力学では、ケットは、縦ベクトル、
ブラは、(同じ次元の)横ベクトルの2つがあり、
    <x|ψ>= ψ(x)   スカラー(の関数)
なんてやります。
これが、何故、言えるか考えてみます。

そんなこと、当たり前だろ!! と言われると思いますが、
縦ベクトル|ψ>に「何か」して、スカラーという「別のもの」になる
ということは、
    「何か」は写像です。
    始めから「横ベクトルを掛ける」とは、決めつけられません
(最終的には、これが「横ベクトルを掛ける」であることを示しますが)

1.双対空間
     Kを体とする(例えば複素数体)つまり、スカラーというのがミソ
     VをK上のベクトル空間とする (空間です。ベクトルではない)
     VからKへの線形写像fを、Vの線形汎関数という。
     (何故、汎関数かというと、対象が個々のものでなく空間全体だから)
     で、このfの全体をVと書き、双対空間 と呼ぶ。
     (線形汎関数の像=V
の元=ベクトル)

2.したがって、横ベクトルの成す空間は、縦ベクトルの「双対空間」である。
     双対というからには、縦と対になるのは横しかないじゃないか!
     というのは、数学ではないw

3. 双対空間Vは、
     和とスカラー倍が定義される(これは、ベクトル空間の定義)
       (f+g)(v)=f(v)+g(v)   (f,g∈V
 v∈V)
       (cf)(v)=cf(v)      (c∈K)  
        V ≠ φ  
     したがって、V
は、K上のベクトル空間である。

4.補題 (三宅敏恒「線形代数学」 定理7.1.5)
     体k上のベクトル空間Uからベクトル空間Vへの
     線形写像全体の集合をHom(U、V) と書く。
     Dim(U)=n  Dim(V)=m とすると、
     Hom(U、V)は次元がmxnであるベクトル空間となる。
      (証明は略)

5.補題 4より、双対空間Vは、
     V
=Hom(V、K) は、K上のベクトル空間で、
     Dim(K)=1(つまり、スカラー)であるから、
     Dim(V)=Dim(V) となり、
     Vの表現を、縦ベクトルとすれば、ベクトルの掛け算の定義から
     V
の表現は、横ベクトルとなる。