測定対象、測定器、脳(意識)の合成系での縮約は?
測定器との相互作用後、測定器のメータの状態が対象系との縺れ状態になり、
測定対象A_sの固有値a_n と メータ位置x_dの固有値x_n は、
射影測定では、完全相関します。
しかしこれは、
<x_n2|x_n1>=0
ということにすぎず、
この縺れ状態(=純粋状態)を密度行列で表した時、
非対角項=0(干渉成分がない)ことを意味しません。
(非対角項=0にするのが、射影仮説の1つの役割です)
でも、測定器のメータは、目でみた限りは部分系にしか見えません。
部分系として見ると、もつれ系の部分系は混合状態です
しかし、その密度行列は、合成系の密度行列を「測定対象の状態で縮約したもの」
なので、対象系の情報(固有値の対応関係)はなくなっており、
これだけでは、測定としての意味は持ち得ないです。
なので、ヒトが観測しているのは、測定対象と測定器の合成系のようです。 そこで、脳(意識)も含めた合成系の状態を考えてみます。
スピンの↑ ↓ の測定で考えると、(意識をP、測定器をDとする)
合成系の状態は、
|↑A>|↑D>|↑P> + |↓A>|↓D>|↓P>
ですが、これを、論旨が明確になるよう
|↑A, ↑D>|↑P> + |↓A, ↓D>|↓P>
と書きます。
これを、意識 |P>を縮約(Pについて部分トレースをとる)したらどうでしょう?
縮約は、「混合状態の純粋化」:
https://kafukanoochan.hatenablog.com/entry/2020/07/04/200342
の逆の計算です。
(ヒルベルト空間を縮小してベクトルを消すことで、いわば、純粋状態の混合化)
元の状態は、密度行列で書けば
|↑A, ↑D>|↑P> <↑A, ↑D|<↑P|
+ |↓A, ↓D>|↓P> <↓A, ↓D|<↓P|
+ |↑A, ↑D>|↑P> <↓A, ↓D|<↓P|
+ |↓A, ↓D>|↓P> <↑A, ↑D|<↑P|
下の2行が干渉項ですが、Pについて部分トレースをとると
|↑A, ↑D> <↑A, ↑D|
+ |↓A, ↓D> <↓A, ↓D|
+ |↑A, ↑D> <↓A, ↓D|
+ |↓A, ↓D> <↑A, ↑D|
になります。
計算方法は:量子情報理論の基本:部分系と部分トレース - Qiita
もちろん、これだけでは、干渉成分は無くなりません。
というか、意味なさそうですが、ここからが本番。
眼は、測定器のメータ=部分系 も見ており、その状態は、
|↑D> <↑D|
+ |↓D> <↓D|
という混合状態です。
(これだけでは、対象系との相関がないので測定として意味ない)
この|D>にも、上記の「純粋状態の混合化」と同様な縮約(ヒルベルト空間の縮小)
を考えれば(状態ベクトルをスカラー化?すれば)
2つの状態は、↑の値か ↓の値かのどっちかになります(一般には1つの固有値)
そして、意識という情報処理プロセスが、この値と|D>の混合状態と|A, D>の状態
とを「総合的・俯瞰的」な処理 で結びつけられると仮定すると(トンデモ?)
|A, D>の状態と固有値が相関する(固有値が測定値になる)
=測定です!
また 上記は、射影仮説の役割も果たしています。
役割1 干渉をなくす(密度行列の非対角項を0にする)
役割2 その中から1つを選び出す。
なぜ、状態ベクトルが縮約されるか(脳という機構にそれができるか)は、
脳が自己測定系 だからですが、詳しくは項を あらためます。