墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


波動関数の収縮させるのはヒトの意識だけか?

例えば、測定する物理量aがスピンの↑↓ で、測定器のメータをdとすると
ヒトが、測定器の状態=全体系の状態:|↑a>|↑d>+|↓a>|↓d>  
を知って、「意識」の状態がそれになれば
誰であっても、測定器のメータは、ただ1つの位置に見える。
これは、波動関数(状態)の収縮である。

と解釈すると、ヒトの「意識」なら誰であっても、
(全くかかわりのない一般の人でも)よいことになりそうです。
そうであれば、
「意識を持つ・持たない」は反証可能性がないので、ヒトでなくても、
対象が |餌がある>+|餌がない> であれば、犬や猫が見ても「収縮」
測定器の表示が|明るい>+|暗い>であれば、植物の芽でも「収縮」(明るい方に向く)
表示が温度で|高温>+|低温>であれば、感熱紙でも「収縮」
(最後のは、感熱紙に印刷する単なる測定器ですね)

ということになりますが、これが多数意見と思います。
ただ、「意識」自体は、無定義用語でいいのですが、
私の不満は、コペンハーゲン解釈に、この辺の言及がない点です。

1.波動関数は、物理量a の固有空間に対する射影
で定義され、一般に <a|ψ> であり、
測定対象の物理量a の波動関数は、測定者毎に存在し、
それぞれ異なってよいです。詳しくは:
波動関数の収縮はパラドクスではない。 - Quantum Universe

しかし、測定対象の系|ψ>がどういうものか知らず、
物理量a について「知識」もない「全くかかわりのない一般の人」
による測定では、測定器の表示がメータなら、
メータは、どう見ても全体系(=もつれ系)の部分系ですから、
メータの状態は、全体系の |↑a>|↑d>+|↓a>|↓d> でなく、
|a>で縮約された 
   |↑d><↑d| + |↓d><↓d|  
という混合状態です。そうであれば、
これを知っても、測定対象の系|ψ>は、その人には伝わりませんから、
その人の「意識の状態」が、|ψ> になるわけないです。
「全くかかわりのない一般の人」の場合、「意識の状態が、収縮して1つになる」
は成り立たないのではないでしょうか? 
(以下の「補足」参照)

2.「全くかかわりのない一般の人」にとっての波動関数を 
「森羅万象全ての重ね合わせ」=ψ*ψは白色雑音 とすると、
白色雑音に「測定器のメータの状態」という情報を加えることで、
「知識」=情報 が得られるしていますが、
これは、情報理論的におかしくないでしょうか?

補足: 
コペンハーゲン解釈では、測定者は「測定器の表示の状態」を知っただけで
その人だけの波動関数が収縮して、その人の「知識の増加」となる。
つまり、あくまで測定者自身に閉じた話です。

この「測定器の表示の状態」は、
例えば、aがスピンの↑↓ であれば、測定器の表示をdとすると 
アンサンブル(∞個の測定)全体では、「測定器の表示の状態」
   |↑a>|↑d>+|↓a>|↓d> 
は、完全系ですから、
全くかかわりのない「一般の人」でも、同一人物が、
測定を繰り返して「測定結果の状態」を
限りなく累積していけば、|ψ>は分かると言えます。
でも、それはもう「一般の人」では、ありません。

アナロジーですが、古典的なサイコロを振って、
遠隔地の人に伝えることを考えると、
伝えられた目を「知ることで、どれか1つになる」は、
1/6だった確率が、その目だけ=確率1になります(知識が増加)
でも、遠隔地の人が「1~6の目のサイコロ振り」だと
知らなければ、1~6という数値だけ知っても、
「サイコロ振り」という対象について、何もわかりません。
対象についての「知識が増加」するためには、
その人の頭の中に「1~6が、それぞれ1/6の確率である」
という「対象の状態」が存在する必要があるはずです。