墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


波動関数は測定対象系に付属しているのではない(観測者毎に異なる)

僕は、昭和の頃、波動関数(状態)は測定対象系に付属する
かのように習いました。
学部で、初めて量子力学を学ばれる方も、最初はそう思う
のではないかと思います。
昔の教科書で学ばれた先生にも、まだそう思っている方もいます。
しかし、
波動関数(状態)や、その収縮には、
観測者毎に異なる場合があることを説明します。
もちろん、観測者がたくさんいても、1つの測定器を
見ているのであれば、同じになりますから、そういう意味では
客観的な存在です。

波動関数の収縮が客観的な事象ではない例

以下を読めば、十分わかるのですが、補足説明します。
波動関数の収縮はパラドクスではない。 - Quantum Universe
説明:
空間的に離れた(=光円錐の外)のアリスとボブが、
自分の方に来た電子A,Bの「量子もつれ状態のスピン」を
いろいろなタイミングで測定した場合、
あとで、結果を持ち寄ると
アリスがAを測定して「↑か↓の1つになった瞬間には、ボブの方も↓か↑」
になっています(実験事実)

それで、今度は、ボブがBを全く測定しない場合、
アリスがAを測定して(射影仮説が適用されて)、状態が収縮して
↑か↓かの1つになっても(=スピン値の確率密度がδ関数になっても)
ボブの方は、測定してませんから、ユニタリな時間発展します。
つまり、簡単に言えば↑ と ↓ の重ね合わせ状態のままです。
(正確な説明は、上記図3の下にあります。それと下段の追記も重要)
つまり、アリスとボブで「状態も それが収縮する・しない」
も異なっています。
もちろん、波動関数(状態)が異なっても、測定対象は同じ
(同じ量子もつれ系という意味)ですから
その違いは、波動関数の干渉を測定しないと分かりません。

フォンノイマン 

https://as2.c.u-tokyo.ac.jp/archive/handai2009.pdf のp17参照
(Sは測定対象、Aは測定器、A’とかは観測者や測定器です)
この図をみれば、波動関数が観測者毎にあるように思うでしょう。
それが正しいことを説明します。

例えば、これを電子のスピン↑↓ の測定とすると
観測者A’が測定して(射影仮説が適用されて)
その脳の状態が1つの状態 ↑ に
収縮した(スピン値の確率密度がδ関数になった)時で
かつ、A’’が、A’をまだ測定してない時、
A’’から見た全体系は、ユニタリな時間発展しますから
|↓S>|↓A>|↓A’>+|↑S>|↑A>|↑A’>
という もつれ状態であり、収縮していないです。
(何故、この式になるかの証明は:
 測定でのもつれ状態に 観測者の状態 が入ることの証明 - 墓所の虫
ということで、波動関数(状態)は、A'とA''では、異なります。

今度は、観測者A''が測定したとすると(射影仮説が適用されて)
その脳の状態が ↑ に収縮します。
(同じになる理由は、測定対象Sの測定基底が共通なので)
この時、A''’にとっての全体系は、
未だ測定してないなら、ユニタリな時間発展しますから
|↓S>|↓A>|↓A’>|↓A’’>+|↑S>|↑A>|↑A’>|↑A’’> 
であり、収縮していないです。
フォンノイマン鎖は、この状況が、ずーと続きます。

ハイゼンベルグ・カット
上記PDFのp18~19参照

ある方からハイゼンベルグ・カットがある位置から右で
自由に移動できることと、「観測者の意識で状態が収縮する」
のとは、矛盾するのではないか?
という指摘を頂きました。

これは、上記で書いたように、
・測定は観測者がそれぞれ行うものであり(A’だけではない)
・状態の収縮は、観測者それぞれに起きる
・ある観測者自身にとっては収縮(δ関数になる)しても、
 外部の観測者にとっては(その外部の人が測定するまでは)もつれ状態

なので、矛盾しません。