墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


前紀世の残務整理(まとめ)

私は、「学生の頃の量子力学への憧れ」いわば「青春の尻尾」を、
50になって追っかけていたのですが、ほぼ目処がたったので、
ここで「前世紀の残務整理」としてまとめます。

1.∞高さ壁の箱の中のψ(p)

   前世紀の教科書は、誤っています。
   pは、正の一定値と負の一定値 の状態の重ね合わせではありません。
   ψ(p)= 1/2 (δ(p-p_n) + δ(p+\p_n) ) は誤りで、正しくはψ(x)のフーリエ変換
   詳しくは:教科書の間違いー箱の中の粒子の運動量 - 墓所の虫

2.量子力学は非局所論というのは間違い

   入門書とかに、位置xが -∞~+∞に広がった波動関数が瞬時に収縮すること
   (一般に、xが広がった波動関数ψ(x)=<x|ψ>が瞬時に変化すること)
   を指して「量子力学は非局所論である」 とよく書いてあります。
   波動関数は ψ(x)|x>=|x><x|ψ>という射影操作で定義されます。
   射影ですから、光線が作る壁の光点と同様、情報を伝えません。
   任意の|x1>と|x2>の波動関数の値には、相関関係はありますが、
   因果関係は、ありません。

   そもそも、量子論は、局所実在論より広いですが非局所実在論ではないです
   詳しくは:俗説の間違いー量子力学は非局所論 - 墓所の虫

3.量子もつれ系で「相手が測定して状態が収縮しても自分の方はまだユニタリ発展」

   よくある説明:
   「量子もつれでは、関連付いている粒子のもう片方の状態が収縮した段階で
    (その瞬間に)、遠く離れた自分の方(部分系)の状態も収縮する」
   は、間違いです。
   ベルの不等式が破れるのは、干渉項が0でない故で、
   「もう片方の状態が収縮して、その干渉項が0になっても、
    自分の方から見た干渉項がまだ0でない」からです。
   波動関数の収縮はパラドクスではない。 - Quantum Universe

   よくある説明のように、「自分の方(部分系)の状態も収縮する」
   のであれば、その干渉項は0になるので、破れなくなります。

   私の説明は、「相手が測定した同時刻に、系全体の状態が収縮」
   と一見矛盾するように見えますが、
   後者は「あとで測定結果を持ち寄った過去の中でのデータ」においては、
   全系の状態が収縮した時点は、相手が測定した時点=同時刻まで遡れる
   ということであり、矛盾しません。
   弱測定で、「未来の状態が過去の測定結果に影響する」というのも
   「あとで測定結果を持ち寄った過去の中での未来の状態」
   おいてであり、この「同時刻に収縮」と同じことです。

4.ボーム理論や多世界解釈を叩き潰したいが(検討中)

   3の帰結から、
   「相手が測定しても自分の方から見たらまだユニタリ発展(未確定)」
   と言えます。
   しかし、ボーム理論や多世界解釈が創られた当時は、そうではなく
   「相手が測定したら自分の方も即確定(状態が収縮)」と思われていました。
   ここから、ボーム理論や多世界解釈は誤りが、導けそうなのですが、、、

6.位置xのある範囲での物理量

   物理量Aがxと交換するなら、ある範囲での期待値は意味を持ちますが
   位置xと交換しなければ、系全体(-∞~+∞の範囲)でないと意味を持たず、
   ある範囲を指定して、そこの(付近の)エネルギーや運動量というのは、
   意味を持ちません。

   トンネル効果や段々のポテンシャルの場合、
   系全体のエネルギー値とポテンシャルエネルギーの比較はOKですが
   比較が、ある場所でのエネルギー値ではいけないです(付近でもダメ)

7.粒子の数が 10^23個もあると、古典系=実在 と見做せる証明

   |n>と|n+1>は直交しますが、10^23個もあるとn-1とn+1とが
   事実上同じになり、
   そのため全体系のψ(x1,x2,x3, , ,) が定数と見做せることがミソです。
   詳しくは、別途書きます。

8.状態がAとBの重ね合わせの時「値はAであるか、Bであるか」という
  2値論理は適用できない

  例えば、「粒子は測定前もどこかの位置(x,y,z)に居る」のか
  「どこにも居ない」のか
  という2値論理の命題は意味を持たない(どちらも否定できる)
  ことが証明できます。
   状態がAとBの重ね合せの時「Aである」か「Bである」かという2値論理は適用できない - 墓所の虫