俗説の間違いー量子力学は非局所論
入門書とかに、広がった波動関数が瞬時に収縮することを
指して「量子力学は非局所論である」 とよく書いてあります。
しかし、
量子論は、局所実在論より広く、ベルの不等式を破りますが
以下の意味で局所論です。
(清水明「新版 量子論の基礎」p214 より抜粋・補足)
月の実験家の測定結果
「月に来た(片割れの)粒子の(ある物理量の)測定値の確率分布」
は、
地球の実験家が、月の測定時(光円錐の外!)、何をやろうが全く変わらない。
また同様に、
地球の実験家の測定結果
「地球に来た(もう一方の)粒子の(ある物理量の)測定値の確率分布」
は、
月の実験家が、地球の測定時(光円錐の外)、何をやろうが全く変わらない。
これが、ベルの不等式でも量子論でも、核心的な仮定(前提)になっている。
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この前提は、ベルの不等式も量子論も、局所的ということであり、
「量子論が非局所論だから、ベルの不等式が破れるのでは、ない」
ということです。
ベルの不等式を破る原因は、「量子論特有の干渉効果である」p229
何が干渉するかというと、
月の測定器に来た片割れの粒子aがa=↑、地球に来た粒子bがb=↓ という状態:
|+>|->
と、月の測定器に来た片割れの粒子aがa=↓、地球に来た粒子bがb=↑ という状態:
|->|+>
この相入れない「日常言語では表せない状態」の干渉です。