測定における「知識」の増加量の計算
コペンハーゲン解釈では、物理量a の測定の場合、波動関数<a|ψ>は、
測定者毎に存在し、測定者によって異なっててもよいです。
(例えば、ある人は測定済みのδ関数、ある人は未測定の重ね合わせ状態)
波動関数の収縮は、測定者が「測定器の表示の状態」を知っただけで
その人だけの波動関数が収縮して、その人の「知識の増加」となる。
つまり、あくまで測定者自身に閉じた話です。
初めに「コペンハーゲン解釈の何が不満か」 - 墓所の虫
での疑問は、測定者が「測定する物理量a を知っている専門家」の<a|ψ>
での場合、「知識の増加」は言えるが、「何もしらない一般の人」の場合は、
違うのではないか? というものです。
そこで、その人の波動関数が収縮した時の増加するエントロピーを計算してみます。
物理量a の測定の場合、「専門家」には、正確な波動関数<a|ψ>が存在する
なので、
「測定器のメータの状態」を知っただけで、波動関数<a|ψ>が、
1つの固有関数になる。
=測定対象についての「知識が増加」する。
これが正しければ、
測定における「知識」の増加量(エントロピー)が計算できます。
波動関数<a|ψ>のエントロピーの計算は、一般に:
https://kafukanoochan.hatenablog.com/entry/2020/05/31/020603
であり、これが、測定者の脳内の波動関数<a|ψ>のエントロピーS_before
のはずです。
1.連続固有値の系の場合
測定後のδ関数のエントロピーS_after は、
S=-∫dq P(q)log(P(q) ) より
S_after=-∫dq δ(q) log( δ(q) )
=-log( δ(0) ) ???
これでは、何のことかわからないので、やり方を変えて、
仮に、系の波動関数がψ(q)=δ(q-q') とすると
<ψ|ψ>=∫δ(q-q')dq=1
なので、
S_after=-P log(p)
=0
のようです。
ということは、脳内のエントロピーの変化は、
S_after ー S_before+「測定値を知ったこと」のエントロピー
で、S_afterは0
S_beforeは、確率ψ*ψが、0未満にはなりえないので >0
「測定器のメータの状態」のエントロピーは、射影測定の場合、
(続)
脳全体では、物理過程でエントロピーが減ることはないので、
微増と仮定すると、
ほぼ、「測定前の脳内の波動関数<a|ψ>のエントロピー」が減った分が
脳内に生じる。
これが、「知識」のエントロピーの増加の最大値となる。
(最大値というのは、全て知識になるかわからないので)