「量子マクロ力学」の提案 (1)
「量子力学が正。古典論こそ近似」
「確率論には 意識を持つ主体 の仮定が必須」
で思いついたのですが、
デコヒーレンスが非常に大きいことを前提とし、
干渉項がなくなったマクロな混合状態を
純粋化(堀田昌寛「量子情報と時空の物理」p6 混合状態の純粋化)
https://kafukanoochan.hatenablog.com/entry/2020/07/04/200342
により、純粋状態にした系を考え、
1.その純粋状態にした系に対する測定
2.その純粋状態を|x> に射影して得た波動関数のシュレーディンガ方程式
を議論します。
この場合、古典力学と、大きく違う点は、
サイコロの目の値は、古典力学では、1つに決まっていますが
サイコロの目の状態を純粋化すれば
固有値=測定値は1~6の可能性があります。
「量子力学が正。古典論こそ近似」なら、
こっちの方が「正しい」です 。
これは、「自由意志を持った主体」が、
何回もサイコロをふる=アンサンブル
で考えれば辻褄が合います。
古典力学では、粒子の「軌道」が計算できます。しかし、
波動関数ψ(x, t)の時間発展を シュレーディンガ方程式で求める時
粒子が、古典論の質点とすると、
位置は、ある1点だけのδ関数になっています。 この時、
pの確率分布のσは、∞なので、軌道?は計算できません。
ψ(p,t)の初期状態が、1つの値を持つδ関数で、
これを形つくる微小波群が、ψ(x,t)と同様に時間発展すると
仮定すると、ψ(x,t)とψ(p,t)は、フーリエ変換・逆変換の関係
なので、共にガウス関数でなければならない です。
(つまり、質点はあり得ない)
そこで、xの固有関数が「非常に尖ったガウス関数」として
(デコヒーレンスが十分大きいのが前提ですから)
pの固有関数も「非常に尖ったガウス関数」とすれば
「軌道」が計算できます。
この「非常に尖ったガウス関数」は
幅を持ち、2乗も定義できます(ヒルベルト空間に入る)
この関数を、δg関数と呼ぶことにします(詳細は最後で)
中央値を x0、「幅」を、Nσ として(Nは5とかのパラメータ)
δg(x-x0, Nσ) と書きます。
δg関数は、絶対値の2乗が、確率密度になり、
Nσの値により、δ(x-x0) から exp(ikx) の間になる関数です。
Nσが、十分小さいとδ関数に似た性質を持ちます。
もう少し具体的に言うと、
「軌道」計算の場合のψ(x,t)は、単にδg関数の時間移動になるだけで
古典力学と同じことです。
例えば、等速直線運動では、ψ(x,t)=δg(x - vt -x0、N_x σ) です。
これは、x=vt + x0 に相当します。
また、ψ(p,t)=δg(p - p0、N_p σ)
これは、p=p0 に相当します(p一定)
そして、測定後も、尖ったδg関数であると仮定すれば、
古典論と同様「測定してもしなくても同じ」と言えます。
上記とすれば「量子力学そのもので、かつ、古典的な力学」になりますが
デコヒーレンスを0とすると、普通の量子力学です。
なので、黒体輻射を計算しても正しい答えを出し、
ベルの不等式をやぶります(局所実在論より広い)
また、2重スリットの干渉縞を計算すると、デコヒーレンスが
大きくなるにつれ、干渉縞が消えることが示せます。
(後日、記事に書きます)
この「量子力学そのもので、かつ、古典的な力学」を
「量子マクロ力学」
と呼ぶことにします。
古典論は、1つの目しか出ないイカサマサイコロと同じで
「測定は不要、したがって、意識 も不要」と言われるでしょうが
目の設定が、どうなるかは観測者(系と分離されている)
には、わからないので、 測定は必要です。つまり、
目の設定段階で測定した=測定値がある1つの固有値なった
(状態が、ある1つの固有状態に収縮した)と考えればいいです。
これから、「測定前」においては
どんな場合でも「さっぱり分からない」混合状態
と言えます。
ということは、古典力学を量子論の近似理論にするなら、
古典力学に以下を持ち込む必要があります。
1.「自由意志を持った主体」が 何回も実験する=アンサンブル
で考えること。
2.「測定したら」、複数の固有状態が1つだけになる
=波動関数の収縮 が起きるための「意識」。
(コペンハーゲン解釈では「収縮」は意識で起きるとする)
この2つです。
1を「量子力学互換の主体」、2を「量子力学互換の意識」
と呼ぶことにします。
互換(Compatible)というのは、日常感覚でとんでもないモノを
考えられては困るからです(似非科学よけ)
難点は、
1.古典論(相対論)は、観測者が自身を観測することで
静止系を定義できます(観測者と共に動く系)
量子力学は、観測者と対象系が合理的に分離されて
いないと適用できません。
つまり、観測者が観測者自身を観測できないです。
古典論にできて、量子力学にできないことはないはず
なので、この「量子マクロ力学」で解決したいと思います。
これは後で「自己測定問題」として記事に書きます。
2.射影測定がうまく理論に入らない
ある物理量の射影測定を行うと、その正準共役量のσが∞になります。
それでは、デコヒーレンスの大きさを∞にしても意味がないです。
しかしながら、δ関数はそもそもヒルベルト空間には入らないので
「狭い範囲のxやpをを考え、その中のある点でxやpを代表させる」処方
(清水明「新版 量子論の基礎」p72)をすればいいです。
この処方は、私の提案の「尖ったδg関数」を使うことと同じことです。
δg関数の定義とか
この理論での測定を、
「誤差が事実上無視できる測定で、上記清水処方を適用した結果とする」
とするならば、射影想測定と似た性質を持ちます。
その結果出てくるδg関数のNσが、
「事実上無視できる誤差未満」とし(Nは5とかのパラメータ)
このNσを、δg関数の「幅」と定義します。
この幅は、上記清水処方の「狭い範囲」に一致します。
具体形は、
δg(x - x0, Nσ )=exp{ - (x - x0)2/2(Nσ)2 } exp{ik (x - x0 )}
で、
デコヒーレンス=0とすると、普通の量子力学になり、
δg関数は、Nσの値により、δ(x-x0) か exp(ikx) になります。