墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


距離空間の完備化(4)

距離空間の完備化の残り(写像:X→C(X)~)

前回で、C(X)~で定義されるd~は、C(X)~上の距離関数であることが言えました。
したがって、距離空間の定義から、C(X)~は、距離空間です。

X:   距離空間(完備かどうかは言えない)これを完備化した集合を見つける。
C(X):  Xの基本列 全体の集合
C(X)~:  C(X)を以下の同値関係で割った商集合
    C(X)上の2つの元(xn|n∈N)と(x'n|n∈N)に対して、
    d*((xn|n∈N),(x'n|n∈N))=Lim[n→∞]ρ(xn,x’n)=0
    となる時、その時に限って(つまり逆も言えるとき)同値関係(xn|n∈N)~(x'n|n∈N)と定義される

あとは、C(X)~が、Xを完備化したものになっていることを証明したいのです。
そのためには、
1.距離空間Xから距離空間C(X)~への写像fが等長写像である
2.像f(X)は、C(X)~において稠密である
3.C(X)~は、完備である(すでにMurakさんの問いで証明していますが、、、)
を言えば終わりです。

1.距離空間Xから距離空間C(X)~への写像fが等長写像であることの証明
  (1) 写像f:X→C(X)~を以下のように定義する。
     ∃x∈X に対し、点列(xn|n∈N)において、xn=x とおいたものを x~ で表わせば、      x~∈C(X)である(基本列であることは明らか)。具体的に書けば、x,x,x,x,x,・・・      したがって、x~を代表元とする同値類が考えられ、           f:x∈X → [x~]∈C(X)~      と定義する。
  (2) d((x1n|n∈N),(x2n|n∈N))=Lim[n→∞]ρ(x1n,x2n) として関数d を定義した。
     また、C(X)/~の2つの代表元に対し、
     d~([(x1n)], [(x2n)])=d*((x1n),(x2n)) としてd~を定義した。(n∈N)

  (3) Xの2つの元x1、x2 に対して、ここでは、点列が x,x,x,x,x,・・・の場合であるから、
        d~(f(x1), f(x2))=d~([x1~], [x2~])=d*(x1~, x2~)  
       =Lim[n→∞]ρ(x1,x2)=ρ(x1,x2)  
  したがって、写像 f は、
  ρ(x,y) = ρ'(f(x),f(y)) なる関係を満たすので、f は等長写像である
  //  
    また、ρ(x,y)>0 なら、ρ'(f(x),f(y))>0 であり、この時 f(x)≠f(y)であるので
    単射でもある。(Murakさんの問いの答え)

この1の証明は、何を意味するかと言うと、
C(X)の同値類には、
距離空間X内の点に収束するような点列{a_n}について、代表元を[(an)]とする同値類の集合{Ea1、Ea2、、}   収束する点がXに含まれない点列{b_n}について、代表元を[(bn)]とする同値類の集合{Eb1、Eb2、、}  の2種類があり(Ex1,2、3,,の番号は収束点に対応するものです。an, bnのnとは関係ありません)
C(X)は、{Ea1 U Ea2 U、、、 U Eb1 U Eb2 U、、、} となり、
C(X)/~は、{Ea1、Ea2,,,、Eb1、Eb2,,,}となる
わけですが、
点列x,x,x,x,x,・・・即ちxが、集合C(X)~のEa1、Ea2 、、、のいずれかEax に単射され、
また、等長写像であるので、XはC(X)~に「包まれる-数学での表現はわかりません」ということ
です(2の証明は、Eb1、Eb2、、、の方が対象)

2.像f(X)は、X~において稠密であることの証明
  これは、(xn)∈C(X)に対して、代表元を[(xn)]とする同値類を考え、
  Lim[m→∞] d~([(xn|n∈N)]、f(xm|m∈N))=0
  を証明すればよい。(1では単に f(x) )
  これは、∀n,m∈N ∀ε> 0 ∃M∈N [ n≧M and m≧M → |d~([(xn)]、f(xm))| < ε]
  と書ける。
  (1) 1の結果: d~(f(x1), f(x2))=d(x1~, x2~) において、x2~=xq q∈Nとすると
    d~([xn|n∈N], f(xm|m∈N) )=d
( (xn|n∈N), xm~|m∈N) となる。
  (2) (xn)について、基本列の定義より、
    ∀q,m∈N ∀ε> 0 ∃M∈N [ q≧M and m≧M → |ρ(xq,xm)| <ε/2] 
    にできる。(mとqであることに注意)
    この時、m≧n ならば、
    d~([xn|n∈N], f(xm|m∈N) )=d*( (xn|n∈N), xm~|m∈N) 
    =Lim[n→∞] ρ(xn,xm) <ε/2 < ε(上記のε)
  ∴ Lim[m→∞] d~([(xn)]、f(xm))=0

  よって、C(X)~の任意の元(同値類[(xn)]の元) は、f(X)に属する点列f(xm)の
  極限点となり、2が成り立つ

3.C(X)~は、完備であることの証明
  (pn|n∈N)を、距離空間C(X)~の任意の基本列とする。
  2より、像f(X)は、C(X)~において稠密であるから、元の距離空間Xの点列の中から、
      d~(pn, f(xn) ) < 1/n  n∈N      式(3)
  を満たすものを選ぶことができる(正確には選択公理が要請される!!)
  この点列(xn)は、Xの基本列である (証明は略す)
  さらに、d~(pn, [(xm)] ) ≦ d~(pn, f(xn) ) + d~(f(xn), [(xm)] )
  であるので、2の結果:Lim[m→∞] d~([(xn)]、f(xm))=0
  と、式(3) から、
      Lim[n→∞] d~(pn、[(xm)] )=0
  が言える。
  つまり、距離空間C(X)~の任意の基本列pnが、C(X)~の点[(xm)]に収束するので、
  C(X)~は、完備である。
//