墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


Note10.内積空間(標準内積とエルミート内積)

Preヒルベルト空間というべき内積空間をやります。
タネ本は、新井朝雄「量子力学の数学的構造 Ⅰ」です。

1.内積空間の定義
   Fを、実数体Rまたは複素数体Cとし、HをF上のベクトル空間とする
   (Rの場合は標準内積空間、Cの場合はエルミート内積空間です)
   Ψ、Φ∈H に対して、数<Ψ、Φ> ∈F が、
   以下の4つの性質を満たす時、<Ψ、Φ>を、
   Hの「内積」とよび、HをF上の「内積空間」という。
   (1) 線形性: 任意のΨ、Φ1、Φ2 ∈H と a,b∈F に対して、
         <Ψ、aΦ1 + bΦ2> = a<Ψ、Φ1>+ b<Ψ、Φ2>
   (2) 対称性: 任意のΨ、Φ ∈H に対して、
         <Ψ、Φ> = <Φ、Ψ>* 
         ここで、<Ψ、Φ>の値を aとすると、a*は a の複素共役
   (3) 正値性: すべての Ψ∈H に対して、
           <Ψ、Ψ> ≧ 0 
   (4) 正定値性:<Ψ、Ψ>= 0 ならば、Ψ=0(Hの零ベクトル)

   (僕は、内積の値∈Rと思いこんでいました。が間違いです)

2.上記(4) 正定値性 を満たさないが、(1)(2)(3)を満たすベクトル空間を
  半正定値性内積空間と呼ぶ

3.反線形性
   任意のΨ、Φ1、Φ2 ∈H と a,b∈F に対して、
      <aΨ1+bΨ2、Φ> = a*<Ψ1、Φ>+ b*<Ψ2、Φ>
   証明: 
      (1)(2)より、
      <aΦ1+bΦ2、Ψ> = <Ψ、aΦ1 + bΦ2>* 
         =( <Ψ、aΦ1 + bΦ2> )*  
           =( a<Ψ、Φ1> + b<Ψ、Φ2> )* 
         = a*<Ψ、Φ1>* + b*<Ψ、Φ2>* 
         = a*<Φ1、Ψ> + b*<Φ2、Ψ> 
4.公式
   (1)と3より、
     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式< Σ_{n=1}^N a_n Ψ_n、Σ_{m=1}^M b_m Φ_m > =Σ_{n=1}^N Σ_{m=1}^M a_n^{*}b_m <Ψ_n、Φ_m >
         Ψn、Φm ∈ H  an,bm ∈ F
5.ノルム
   内積空間の 任意のベクトルΨ に対して、内積の正値性により、
     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 √{<Ψ、Ψ>}
   という量が定義される。これをΨのノルムと呼び |Ψ|と書く。

6.内積空間の次元
   内積空間Hの次元は、ベクトル空間としての Hの次元 とする。