Note3.1次従属と1次独立
1次結合と1次関係
V:ベクトル空間
v、u1~uN ∈ V
aN ∈ R (N=1,2,3、、、)において
v=a1u1 + a2u2 + a3u3 +、、、aNuN で表される時
vは、u1~uN の1次結合で表される
という。(まだ「基底」の話じゃないです)
この時の u1~uN において、
c1u1 + c2u2 + c3u3 +、、、cNuN=0 を1次関係
という。
c1~cNが0の時を、自明な1次関係 という。
1次独立
v1~vN ∈ V が1次独立とは、
(1) 自明な以外の1次関係を持たない
(2) c1u1 + c2u2 + c3u3 +、、、cNuN=0 となるのは
c1~cNが0の時に限る
例
V=Rn において、
e1=(1,0,0,,,) e2=(0,1,0,,,) e3=(0,0,1,,,) eN=(0,0,0,,,1,,,)
は、1次独立 である。
証明:
c1e1 + c2e2 + c3e3 +、、、cNeN=(c1,c2,c3,,,,cN)
これが、(0,0,0,、、、)であるためには、c1,c2,c3,,,,cN
が全て0に限る
//
1次従属
v1~vN ∈ V が1次従属とは、
v1~vNが1次独立でない
である。
これを 1次関係: c1u1 + c2u2 + c3u3 +、、、cNuN=0
を満たすのは、
c1~cNの内 少なくとも1つは「0でないもの」がある
と言ってもよい。
これは、次の定理から言えます。
定理4.2.1
u1~uN ∈ V:ベクトル空間
u1~uN が1次従属ならば、u1~uN のどれか1つが
残りのものの1次結合で表される。
証明:
1次従属なので、自明でない1次関係がある。
c1,c2,c3,,,cN ∈ R とすると、定義より、
c1u1 + c2u2 + c3u3 +、、、cNuN=0 で、
c1,c2,c3,,,cNの内、少なくとも1つは0でない
それをckとし、移項すると、
-ckuK=c1u1 + c2u2 + c3u3 +、、、cNuN (k番目を除く)
∴ uK=(c1/-ck)u1 + (c2/-ck)u2 + (c3/-ck)u3 +、、、(cN/-ck)uN
つまり、uK が、それ以外のもので表せた。
//
定理4.2.1の逆
u1~uN ∈ V のどれか1つが、残りのものの1次結合で
表されるならば、u1~uNは1次従属である。
証明:
略(ヒント:uK=c1u1 + c2u2 + c3u3 +、、、cNuNと表せたとする)
定理4.2.2
u1~uN ∈ V:ベクトル空間
u1~uN が1次独立とする、これにu0を加えて、
u0,u1,,,uN が1次従属になったとすると、
u0は、u1~uN の1次結合で表される。
証明:
u0,u1,,,uN は1次従属なので、自明でない1次関係がある。
ということは、
c0u0 + c1u1 + c2u2 + c3u3 +、、、cNuN=0 が成り立つ
もし、c0=0とすると(背理法)
c1u1 + c2u2 + c3u3 +、、、cNuN=0 となり、
c1,c2,c3,,,cNの内、少なくとも1つは0でない。
u1~uN が1次独立(0になるのはcNが全て0に限る)と矛盾
よって、c0≠0
これより、移項してc0 で割ると、
u0=(c1/c0)u1 + (c2/c0)u2 + (c3/c0)u3 +、、、(cN/c0)uN
つまり、u0 が表せた。
//
補題
(1) v、u1~uN ∈ V:ベクトル空間
aN ∈ R (N=1,2,3、、、)において、(;は改行の意)
v=a1u1 + a2u2 + a3u3 +、、、aNuN で表される時
v=(a1、a2、a3、、、aN)(u1 ; u2 ; u3 ;、、、uN)
と書ける。
(2) u、v ∈ V:ベクトル空間
u=(y1,y2,y3、、、yM) v=(x1,x2,x3、、、xN)の時
mxn行列をAとすると、
Aは、行ベクトルを要素とする列ベクトルとして書けるので
uA=(y1,y2,y3、、、yM)A=(a11y1+a21y2+,,,aM1yM ~
~ a1Ny1+a2Ny2+,,,aMNyM)
=(x1,x2,x3、、、xN)
=v
と書ける。
(3) x1,x2,x3、、、xM ∈ V:ベクトル空間
y1,y2,y3、、、yN ∈ V
の時、mxn行列をAとすると、
(2)と同様に、
(x1,x2,x3、、、xM)A=(a11x1+a21x2+,,,aM1xM ~
~ a1Nx1+a2Nx2+,,,aMNxM)
=(y1,y2,y3、、、yN)
と書ける。
定理4.2.3
ベクトル空間の元の2つの組 u1、、、uM と
v1、、、vN に対し、
(1) v1、、、vN が u1、、、uM の1次結合で書ける
(2) N>M
ならば、v1、、、vN は、1次従属になる。
これから、v1、、、vN が1次独立なら、N≦M である
(証明は略)
例:R2={(x1,x2)|x1,x2 ∈ R}の場合
R2の任意のベクトル(a1,a2)は、a1(1,0)+a2(0,1) と書ける
つまり、E1=(1,0) と E2=(0,1) の1次結合で表すこと
ができる
これから、R2 のn個のベクトルにおいて、
n>2であれば、常に1次従属になる
ベクトルの1次独立な最大個数
ベクトル空間V内の、部分集合X={v1、、、vN}において
(1) Xの中にr個の1次独立なベクトルがある
(2) Xの中から、r+1個のベクトルを選ぶと、
1次従属になる時、rを、
「Xのベクトルの1次独立な最大個数」
という。
定理4.3.1
ベクトル空間の元の2つの組 u1、、、uM と
v1、、、vN に対し、
v1、、、vN が u1、、、uM の1次結合で書けるならば
v1、、、vNの1次独立な最大個数kと、
u1、、、uM の1次独立な最大個数r では、
k≦r である。
証明
u1、、、uM は、番号を付け替えてもよいので
u1、、、ur を、1次独立に選ぶことが出来る
定理4.2.2より、u r+1、、、uM は、
u1、、、urの1次結合で書ける
v1、、、vN は、u1、、、uM の1次結合で書けるので
u1、、、urの1次結合で書けることを意味する。
v1、、、vNの中で、k個が1次独立とすると、
定理4.2.3に当てはめると、v1、、、vkが1次独立であり
u1、、、urの1次結合で書けるから
k≦r
//