墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


Note4.基底と次元、基底に関する座標

ベクトル空間に、やっと基底と次元が出てきました。

ベクトル空間の生成
    ベクトル空間Vのベクトルv1,v2,、、、vN が
    Vを生成するとは、

    「v1,v2,、、、vN∈V において、Vの全てのベクトルu
     が、v1,v2,、、、vNの1次結合で表されること」

    を言う(まだ、1次独立とは 言っていません)
    これは、v1,v2,、、、vNが「ベクトル空間Vを張る」
    とも言います。

ベクトル空間の基底(Basis)

    基底とは、
    ベクトル空間Vの元の集合{v1,v2,、、、vN}において

    (1) v1,v2,、、、vN が1次独立
    (2) v1,v2,、、、vN がVを生成する

    このとき、集合{v1,v2,、、、vN}を「ベクトル空間Vの基底」
    と呼ぶ。
    例
       R2の(1,0)と(0,1)
       もちろん(1,0)と(0,-1)でもよい
       Rnの単位ベクトルで、1次独立なものの集合
    註
       Vの基底は、1つだけではない
       また、v1,v2が1次独立とは、直交を意味しない
       (平行でさえなければ、v1でv2は表せない)
       例えば、R2で(1,0)と(1,1)でも、基底
       (直交基底の定義は、まだ先)

次元

    次元を導く定理:
    定理4.4.1 基底に含まれるベクトルの個数は
    基底の取り方に依らず一定である。
    証明
       ベクトル空間Vの2つ基底を{u1,u2,,,uM}と
       {v1,v2,,,vN}とする。
       v1,v2,,,vNは、Vの元なので、u1,u2,,,uM の1次結合
       で書ける。
       N>Mなら、v1,v2,,,vNは、1次従属となり(定理4.2.3)
       基底であることに矛盾
       したがって、N≦M 
       逆に u1,u2,,,uMは、Vの元なので、v1,v2,,,vN の1次結合
       で書ける。
       同様にして、N<M は、矛盾
       ∴ N=M

    この「基底に含まれるベクトルの個数」を次元と呼び、
    dim(V)と書く。
    V={0}の次元は 0 とする。
    尚、スカラーからなるベクトル空間(例えばR1)の場合
    次元は1

基底に関する座標

    空間座標のX軸とかY軸のことは、忘れた方がいいです。
    座標を導く定理:
       {u1,u2,,,uN}をベクトル空間Vの基底とすると、
       任意のv∈V を表すu1,u2,,,uNの1次結合の、
       係数 c1,c2,,,cN は ただ、1通りである。
    証明
       仮に、係数が2通りあったとする。
       それを、v=c1u1+c2u2+,,,+cNuN と
            =d1u1+d2u2+,,,+dNuN とする。
       両者を引くと、v-v=0=(c1-d1)u1+(c2-d2)u2+,,,+(cN-dN)uN
       右辺は、u1,u2,,,uN の1次結合であり、
       これが0になるということであるが、
       u1,u2,,,uN は、基底なので1次独立。
       したがって 係数は0に限る。
       よって、c1=d1、c2=d2、、、cN=dN
       つまり、1通りに限る。
    //
    それで、基底{u1,u2,,,uN}を、横ベクトルで書くと (;は改行)
    任意のv=c1u1+c2u2+、、、+cNuN
        =(u1,u2、、、uN)(c1;c2;、、、cN;)であり、
    (c1;c2;、、、cN;)∈Rn と1対1に対応し、
    且つ、和とスカラー倍の性質を保つ。
    この係数のベクトルを、

    基底{u1,u2,,,uN}に関する vの座標

    と呼ぶ。
    尚 c1,c2,,,cN は 当然、基底の選び方に依存する。