Note4.基底と次元、基底に関する座標
ベクトル空間に、やっと基底と次元が出てきました。
ベクトル空間の生成
ベクトル空間Vのベクトルv1,v2,、、、vN が
Vを生成するとは、
「v1,v2,、、、vN∈V において、Vの全てのベクトルu
が、v1,v2,、、、vNの1次結合で表されること」
を言う(まだ、1次独立とは 言っていません)
これは、v1,v2,、、、vNが「ベクトル空間Vを張る」
とも言います。
ベクトル空間の基底(Basis)
基底とは、
ベクトル空間Vの元の集合{v1,v2,、、、vN}において
(1) v1,v2,、、、vN が1次独立
(2) v1,v2,、、、vN がVを生成する
このとき、集合{v1,v2,、、、vN}を「ベクトル空間Vの基底」
と呼ぶ。
例
R2の(1,0)と(0,1)
もちろん(1,0)と(0,-1)でもよい
Rnの単位ベクトルで、1次独立なものの集合
註
Vの基底は、1つだけではない
また、v1,v2が1次独立とは、直交を意味しない
(平行でさえなければ、v1でv2は表せない)
例えば、R2で(1,0)と(1,1)でも、基底
(直交基底の定義は、まだ先)
次元
次元を導く定理:
定理4.4.1 基底に含まれるベクトルの個数は
基底の取り方に依らず一定である。
証明
ベクトル空間Vの2つ基底を{u1,u2,,,uM}と
{v1,v2,,,vN}とする。
v1,v2,,,vNは、Vの元なので、u1,u2,,,uM の1次結合
で書ける。
N>Mなら、v1,v2,,,vNは、1次従属となり(定理4.2.3)
基底であることに矛盾
したがって、N≦M
逆に u1,u2,,,uMは、Vの元なので、v1,v2,,,vN の1次結合
で書ける。
同様にして、N<M は、矛盾
∴ N=M
この「基底に含まれるベクトルの個数」を次元と呼び、
dim(V)と書く。
V={0}の次元は 0 とする。
尚、スカラーからなるベクトル空間(例えばR1)の場合
次元は1
基底に関する座標
空間座標のX軸とかY軸のことは、忘れた方がいいです。
座標を導く定理:
{u1,u2,,,uN}をベクトル空間Vの基底とすると、
任意のv∈V を表すu1,u2,,,uNの1次結合の、
係数 c1,c2,,,cN は ただ、1通りである。
証明
仮に、係数が2通りあったとする。
それを、v=c1u1+c2u2+,,,+cNuN と
=d1u1+d2u2+,,,+dNuN とする。
両者を引くと、v-v=0=(c1-d1)u1+(c2-d2)u2+,,,+(cN-dN)uN
右辺は、u1,u2,,,uN の1次結合であり、
これが0になるということであるが、
u1,u2,,,uN は、基底なので1次独立。
したがって 係数は0に限る。
よって、c1=d1、c2=d2、、、cN=dN
つまり、1通りに限る。
//
それで、基底{u1,u2,,,uN}を、横ベクトルで書くと (;は改行)
任意のv=c1u1+c2u2+、、、+cNuN
=(u1,u2、、、uN)(c1;c2;、、、cN;)であり、
(c1;c2;、、、cN;)∈Rn と1対1に対応し、
且つ、和とスカラー倍の性質を保つ。
この係数のベクトルを、
基底{u1,u2,,,uN}に関する vの座標
と呼ぶ。
尚 c1,c2,,,cN は 当然、基底の選び方に依存する。