墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


何故、アリスの測定結果にボブの結果が一致するのか

量子もつれ対を測定する場合と、1つの対象系を複数の観測者
が測定する場合で、アリスが最初に測定した時、
「アリスの測定結果にボブの結果が100%相関する」
ことを証明します。
尚、「値がすでに1つに決まっている」からではないです。

1.もつれ対A,Bを測定する場合

図を描くのが面倒なので、堀田先生のブログの図を援用します。
波動関数の収縮はパラドクスではない。 - Quantum Universe
の図3のイラストの式:
(ボブにとっては、合成系にアリスが含まれる) https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 {1/ √{2}} |↑_{Alice}>|↑{}_A>|↓{}_B>+{1/ √{2}} |↓_{Alice}>|↓{}_A>|↑{}_B>
において、
ボブも後から測定したとします。すると合成系にボブも含まれ
https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 ρ={1/ √{2}} |↓_{Bobu}>|↑_{Alice}>|↑{}_A>|↓{}_B>
https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式    +{1/ √{2}} |↑_{Bobu}>|↓_{Alice}>|↓{}_A>|↑{}_B>
となります。
この密度行列を、アリスとボブだけ残して、縮約すると
https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 {1/ 2 |↓_{Bobu}>|↑_{Alice}><↑_{Alice}|<↓_{Bobu}|
https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式   +{1/ 2 |↑_{Bobu}>|↓_{Alice}><↓_{Alice}|<↑_{Bobu}|
です。
この密度行列で考えると、アリスが測定して↑だったとすると
https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 {1/ 2 |↓_{Bobu}>|↑_{Alice}><↑_{Alice}|<↓_{Bobu}|
だけとなり、ボブは、↓の状態だけになっています。
また、アリスが測定して↓だったとすると
https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式 {1/ 2 |↑_{Bobu}>|↓_{Alice}><↓_{Alice}|<↑_{Bobu}|
だけとなり、ボブは、↑の状態だけになっています。

つまり、100%逆相関しています。
この理由は、粒子A,Bが、はなから100%逆相関だったからと
|↑アリス>と|↓アリス>や、|↑ボブ>と|↓ボブ>が直交する
からです。
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2.1つの対象系を複数の観測者が測定する場合

1つの光円錐内だったら、あまり意味がないので
アリスは地球、ボブは月、チャーリィは小惑星にいて、
その中間に測定対象系s(電子のスピン)と測定器dがあるとし
その状態を、
|↑s>|↑d>+ |↓s>|↓d>
とします。

アリスが測定すると、
アリス> = |↑s>|↑d>|↑アリス>+ |↓s>|↓d>|↓アリス>
ボブが測定すると、
ボブ> = |↑s>|↑d>|↑ボブ>+ |↓s>|↓d>|↓ボブ>
チャーリィが測定すると、
|ψ_チャーリィ> = |↑s>|↑d>|↑チャーリィ>+ |↓s>|↓d>|↓チャーリィ>

観測者全員を含んだ全体系の状態|ψ>は
個々の系のテンソル積=|ψチャーリィ>|ψボブ>|ψアリス>
なので、これに、|↑XXX>と|↓XXX>は直交を考慮すると、
1つの項に|↑アリス>|↓アリス>や|↑ボブ>|↓ボブ>とかが
現れることはないので
アリス> = |↑s>|↑d>|↑アリス>|↑ボブ>|↑チャーリィ>
      + |↓s>|↓d>|↓アリス>|↓ボブ>|↓チャーリィ>
この式を見ると
アリスが↑なら、ボブもチャーリィも↑
アリスが↓なら、ボブもチャーリィも↓
という組み合わせしかないです。

したがって、全員が100%相関しています。
理由は、|↑アリス>と|↓アリス>や、|↑ボブ>と|↓ボブ>とかが
直交するからです。

注意しないといけないのは、
測定対象が測定器との相互作用している時点でも、
ボブもチャーリィも、光円錐の外ならアリスも
彼らから見た系の状態は、ユニタリな時間発展をしている
ということです。
つまり、月にいるボブにとって、測定対象の状態が収縮して
1つの固有状態になるのは、最低でも 1.3秒後で、
小惑星にいるチャーリィは、もっとあとなのです。

状態(波動関数)も、その収縮も客観的存在ではないです。
また、状態(波動関数)の収縮は、いつ起きたが言えないので
物理過程ではないのです。
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