ベルの不等式-計算1(新版 量子論の基礎より)
1.遠く離れた2地点での実験
測定する物理量は、2値量とし、-1と+1に単位を合わす。
測定器の「設定」を、A地点ではθ B地点ではφ とし、
いろいろ変えて、測定する
Aθ=a1,a2,,,,aN
Bφ=b1,b2,,,,bN
という測定値が得られる。
で、もう一組、A地点ではθ' B地点ではφ' として、測定する
Aθ'=、、、
Bφ'=、、、
2.A地点とB地点のデータの相関
単純に言えば、平均<A・B>を計算すればよい
(統計学でいう「相関」とは、ちょっと違うが、物理の方では、これもよく使う)
例として、
バラバラ(相関なし)
<A・B>=0
完全一致
<A・B>=1
完全反対
<A・B>=-1
3.真ん中の地点から、鯛焼きの頭と尻尾を、適当に放る場合
測定値を「頭が食べたい時、食べたい方が飛んできたら」1
そうでなければ-1
と記録する。
確率は50%であるが、A地点とB地点のデータの相関<A・B>は、1(100%)
補足すると、上記は、たまたま、A地点とB地点で「食べたい方」が逆の場合です
(「たまたま」というのは、相談しないが前提なので)
A地点とB地点で、たまたま、「食べたい方」が同じだったら<A・B>は
-1です。
で、もう一組、「XXXが食べたい時、食べたい方が飛んできたら」1
そうでなければ-1 のデータを採ります。
相談しないが前提なので、条件が一致する保証は、ありません。
しかし、完全一致か完全反対しかないので<Aθ・Bφ>、<Aθ'・Bφ'>は、
-1か+1の値を取ります。
5.この本では「局所実在論」と比較するため、
状態が実在であるために必要な「隠れた変数λ」を
導入してますが、私としては「鯛焼き」と違うことを示せば十分なので、
とばします。
6.ベルの不等式
{<Aθ Bφ>+<Aθ' Bφ>}-{<Aθ Bφ'>+<Aθ' Bφ'>}≡C
です。
ベルが「ころころ変えた場合の相関が、はっきりでる」よう、
一生懸命考えたのだと思います。
注目すべきは<Aθ' Bφ>ともう一つの項で、対応しない測定値グループ
での相関です。
鯛焼きの場合<Aθ Bφ><Aθ'・Bφ'><Aθ・Bφ'><Aθ'・Bφ> を
すべての組み合わせで計算すると、-2~+2の間の値をとります。
たまたま、θ=1 θ'-1 φ=1 φ'=-1 ならば、2です。
また、スピンが測定してないだけで、↑か↓既に決まっている場合も
同じことが言え、 -2~+2の間の値をとります。
7.真ん中の地点から「上下のスピンの重ね合わせになっている」
Entangledな電子を飛ばす
簡単にするため離散スペクトルの場合だけ考えます。
ボルンの確率規則より
確率p(a,b)=||a,b><a,b|ψ>|2=<ψ||a><a||b><b|ψ>
<A B>=Σ[a,b]abp(a,b)=Σ[a,b]<ψ|a|a><a|b|b><b|ψ>
=<ψ|AB^|ψ>
で、通常は、テンソル積で計算するところを、この本の通りに計算します。
「月にa=+1、地球にb=-1」という状態↑と
「月にa=-1、地球にb=+1」という状態↓とし、
その重ね合わせを
|ψ>=(|↑,↓ > - |↓,↑> ) / √2 とします。
つづく、、、