定義域は、計算のために=恣意的に決めて良いか?
「無限高さ壁の箱の中の粒子」は、教科書では普通、 xの定義域を -L/2 <x< +L/2 という開区間とします。 両端まで含めると、いろいろ厄介だからだと思います。 この場合、x→±L/2 の極限で、|x>は完全系になり、 開区間内で、ψ(x)も、そのx微分も連続で、何の問題もないように見えます。
でも、物理的には、|x>の xは、-∞から+∞ のはずです。 僕の疑念は、計算のために=恣意的に、定義域を決めて良いか? ということです。
そこで、「有限壁の箱の中の粒子」の問題で考えてみます。 この問題を学生が、定義域を どうとろうと自由だ! と言って、 xの定義域を -L/2 <x< +L/2 の開区間にして解いたら 数学では ○ かもですが、物理では X でしょう。
でも、何故、X なのでしょう? xの定義域の両端で、不連続 になるからでしょうか? 開区間内では、ψ(x)も、そのx微分も連続です。 また、x→±L/2 の極限で、|x>が完全系になるようにとれば 数学的には、全くおかしくないです。
どうも、波動関数では定義域は、自由にはとれない ということのようです。 ψ(x)が、x=-∞から+∞ に広がっていれば、xの定義域もその範囲。 広がりが有限範囲なら、定義域は 少なくとも、 その閉区間にしないといけないようです。
しかしながら、定義域外は、何であっても良いというのが数学ですから、 「無限壁の箱の中の粒子」であっても、定義域外のポテンシャルを 有限値にしてもいいことになり、それでは、上記の 「有限壁の箱の中の粒子」の問題と同じことが、言えてしまします。
ということは、ポテンシャルの定義域はx=-∞から+∞ に しないといけない。このxは即ち、|x>の定義域です。 波動関数は、|x>への射影として定義するので、 ψ(x)のxの定義域も|x>と同じ -∞から+∞ になります。
∴ ψ(x)の広がりが有限範囲の「無限壁の箱の中の粒子」であっても、
xの定義域は -∞から+∞
である必要があります。
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