2.ファインマン核の定義
今日は、ファインマン核 です。
タネ本は、森藤正人「量子波のダイナミクス」です。
内容は、とね日記さん: http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/20dea8ac600f55f0c79934c6342e8c5c
を見てください。
1.ファインマン核
熱核(熱積分核)は、
時刻tでの粒子の位置の分布K(x0、x、t)は、初期分布が1点(x0) つまりδ関数の時、
で表されます。
したがって、前回の結果:
「t→it とし適切にスケール変換するだけで 自由粒子のシュレーディンガ方程式に移行できる」ことから
自由粒子の積分核が同じ条件で、
となります(p23に載っています)
ということは、V≠0でのシュレーディンガ方程式
の解を、積分形で、
と表せるのでは、と期待されます。
実際、これはできて、この積分核を ファインマン核 と呼びます。
言い換えれば、粒子の波(確率振幅)は、拡散に類似した形で空間を伝わって行く。
その際の「熱核」に相当するものが、ファインマン核です。
つまり、↑の積分形は、シュレーディンガ方程式と等価である と言えます。
x表示の波動関数ψ(x、t)は、|ψ(t)> の xへの射影|x><x|によって
で定義される。
シュレーディンガ描像では、時間依存性は、|ψ(t)>が担っているので、時間発展の演算子U(t、t0)を導入して
|ψ(t)> = U(t、t0)|ψ(t0)>
とすると、
で、完全性関係∫|x0><x0|=1 を用いると、
波動関数の定義から、<x0|ψ(t0)>=ψ(x0、t0)
したがって、この式と、1の積分形を見比べると、ファインマン核は、
です。
この本では U がユニタリー演算子であるとか、U自体がシュレーディンガ方程式に従うとか
あるのですが、それは、項を改めて書きます。
(別に書けないわけじゃないです。新版「量子論の基礎」p184あたりに、丁寧に書いてあります)