墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

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大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


2.ファインマン核の定義

今日は、ファインマン核 です。

タネ本は、森藤正人「量子波のダイナミクス」です。
内容は、とね日記さん: http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/20dea8ac600f55f0c79934c6342e8c5c
を見てください。

1.ファインマン

   熱核(熱積分核)は、
   時刻tでの粒子の位置の分布K(x0、x、t)は、初期分布が1点(x0) つまりδ関数の時、

     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex?式K(x0、x、t)={1 \over{√{2πt}} }e^{ー(x-x0)^2/2t}

   で表されます。
   したがって、前回の結果:
   「t→it とし適切にスケール変換するだけで 自由粒子のシュレーディンガ方程式に移行できる」ことから
   自由粒子積分核が同じ条件で、

     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式κ(x、x0、t)={1 \over{√{2πit}} }e^{ー(x-x0)^2/2it}

   となります(p23に載っています)
   ということは、V≠0でのシュレーディンガ方程式

     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式i hbar {∂ \over{∂t}}ψ(x、t)={H ψ(x、t)}

   の解を、積分形で、

     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式ψ(x、t)=∫_{-∞}^{+∞}{κ(x、t、x0、t0)ψ(x0、t0)} dx0

   と表せるのでは、と期待されます。
   実際、これはできて、この積分核を ファインマン核 と呼びます。
   言い換えれば、粒子の波(確率振幅)は、拡散に類似した形で空間を伝わって行く。
   その際の「熱核」に相当するものが、ファインマン核です。

   つまり、↑の積分形は、シュレーディンガ方程式と等価である と言えます。

2.ファインマン核を状態ベクトル|ψ(t)>で表すと、、、

   x表示の波動関数ψ(x、t)は、|ψ(t)> の xへの射影|x><x|によって

     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 |x><x|ψ(t)> =ψ(x、t)|x>

   で定義される。
   シュレーディンガ描像では、時間依存性は、|ψ(t)>が担っているので、時間発展の演算子U(t、t0)を導入して
   |ψ(t)> = U(t、t0)|ψ(t0)>
   とすると、

     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 <x|ψ(t)> = <x|U(t、t0)|ψ(t0)> =ψ(x、t)

   で、完全性関係∫|x0><x0|=1 を用いると、

     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 <x|ψ(t)> =∫_{-∞}^{+∞}dx0 <x|U(t、t0)|x0><x0|ψ(t0)>        波動関数の定義から、<x0|ψ(t0)>=ψ(x0、t0)
   したがって、この式と、1の積分形を見比べると、ファインマン核は、

     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 κ(x、t、x0、t0)= <x|U(t、t0)|x0>

   です。
   この本では U がユニタリー演算子であるとか、U自体がシュレーディンガ方程式に従うとか
   あるのですが、それは、項を改めて書きます。
   (別に書けないわけじゃないです。新版「量子論の基礎」p184あたりに、丁寧に書いてあります)

次回は、ファインマン核の性質とその物理的意味、それからやっと経路積分に入ります。