量子もつれ系の部分系が「混合状態」であることの証明
簡単のために、2個の電子(A,B)のスピンの↑・↓の状態を考え、
|A>=a1 |↑A> + a2 |↓A>
|B>=b1 |↑B> + b2 |↓B>
とします。
状態|A>と|B>のあらゆるケースを含む状態を表わすのは、テンソル積:
|A>|B>=(a1 |↑A> + a2 |↓A>) (b1 |↑B> + b2 |↓B>)
=a1b1 |↑A>|↑B>+a2b2 |↓A>|↓B>+a1b2 |↑A>|↓B>+a2b1 |↓A>|↑B>
です。
これらの項の係数が a1~b2 の関係から少しでも外れると
|A>|B>とは表せないので、量子もつれ状態です。
極端な場合
a1b2 |↑A>|↓B>+ a2b1 |↓A>|↑B>
とか
a1b1 |↑A>|↑B>+ a2b2 |↓A>|↓B>
です(これを満足するa1~b2はない)
そういうわけで、 もつれ状態の部分系A、B は
純粋状態:
|A>=a1 |↑A> + a2 |↓A>
|B>=b1 |↑B> + b2 |↓B>
では、ありえません(もつれ状態を満足するa1~b2はない)
じゃ、何なのかと言うと、密度行列でしか表せない混合状態です。
密度行列ρの定義は、全体系の確率を1、その射影 |an><an|の確率をPn
とすると、
ρ=Σn Pn |an><an|
です。
なので、部分系Aの状態は、全体系の状態の
Aの↑成分+Aの↓成分+干渉成分
です(と思います)