4.経路積分 もう少しです
タネ本は、森藤正人「量子波のダイナミクス」です。
内容は、とね日記さん: http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/20dea8ac600f55f0c79934c6342e8c5c
を見てください。
ここでは、前々回の結果:
を、|x>での完全性関係と運動量|p>での完全性関係で展開します。
完全性関係とは、あるベクトルの射影をすべて寄せ集めて足せば、元のベクトルである ということです。
つまり、あるベクトルを Aとすると、
ということです。
1.まず、前々回の結果を、|x>の完全性関係で展開します。
といっても、<x|(e^{Tε/ih'})N(e^{Vε/ih'})N |x0> の
x0からxまでを、x_n に分割し(Π)、
寄せ集めて足す(∫)だけです。(まぁ、N乗が、Π になると言うことです)
となります。
2.次に、|p>の完全性関係で展開します。(これは、完全性関係の定義通りの式になります)
となります。
この段階で、|p_n><p_n|は、pの固有ベクトルへの射影ですから、pやp2/2m(=T) を掛けることは、
その固有値 つまり只の数を掛けることと変わりません(前回の記事のスペクトル展開の項を参照)
したがって、HつまりTやVは、ブラ・ケットの外へ出せて、(注 Hの不定性については、後述)
そして、Π(かけ算)は、eの肩の中では、Σ(足し算)になりますから、
で、ここからがミソ
<p_n|x_n> や <x_n+1|p_n> を計算します。
すると、
<p|x> = 1/√2πh’{exp(-ipx/h’)}
https://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/61737027.html 参照
<x_n+1|p_n> = 1/√2πh’{exp(ip_n(x_n+1)/h’)}
となります。
したがって、<x{n+1}|p_n><p_n|x{n}>
= 1/2πh’{exp-(ip_n(x_n+1-x_n)/h’)}
これを代入すると、
うっ、ピッタし本と同じ結果!!
3.あとは、N→∞のΣ は、積分になります。
∫,,,∫dx1,dx2、、、dx_N-1 というのは、xのとる経路についての積分ですから、
τという変数を導入して ∫dx(τ) と書けます。
また、∫,,,∫dp1,dp2、、、dpN-1 も、同様に、∫dp(τ) と書けますが、
ここで、各微分dpn を、2πh’ で割ると、係数(1/2πh’)N が消せます。
また、p_n(x_n+1-x_n)/ε の項は、p dx/dt という古典力学の結果を使います。
p dx/dt-H はラグラジュアンです。
ラグラジュアンについては https://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/61396238.html 参照
したがって、
で、導出完了 //
何故 (1/2πh’)N が無くなるのかわからなかったのですが、
T_Nakaさんがお教え下さいました。あらためて、お礼申し上げます。
T_Nakaさんにお教えて頂いた文献: https://members3.jcom.home.ne.jp/nososnd/ryosi/path.pdf
に、dx(τ)、dp(τ) を Dx,Dpと記し、 これを「経路積分の測度」と言うそうです。
上記の表現を、ハミルトニアン経路積分 と呼ぶ
ラグランジュアン経路積分は、次回 書きます。
説明:
ここで導出したファインマン核の表現は、始点(x0、t0)から
終点(x、t)の間に
「粒子がとりうるxとp」全てについての和(積分)
になっている。
その和の各項につく「重み」は、eの肩の積分(作用積分)
の値である。
つまり、量子力学的粒子は、始点 から 終点
までの間の経路として、あらゆる可能性がある
ことを意味する。
上記を導くために「完全性関係の式」を挿入したのは、
このような意味があるわけです。
もちろん、最大の「重み」がつく経路は、
eの肩の積分(作用積分)が最少になる経路ですが、
これの証明は、次回「ラグランジュアン経路積分」
を導出した後、書きます。