墓所の虫

.    「新版 量子論の基礎」と「量子情報と時空の物理」をベースに書いていますが、間違いをよくやります。まず眉にツバをつけてw

ブログの紹介 (主な記事、Webサービス)

大学教育は危機に瀕しています! 


私は言葉の使い方が下手なので、おかしいと思う文章は式に合わせてお読み下さい。
尚、新理論や独自理論を唱えるつもりはありませんが、アイデアの提案はしています。


4.経路積分 もう少しです

ファインマン核の経路積分表現を導出します。

  タネ本は、森藤正人「量子波のダイナミクス」です。
  内容は、とね日記さん: http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/20dea8ac600f55f0c79934c6342e8c5c
  を見てください。

ここでは、前々回の結果:

     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 K(t-t0)=¥lim_{N→∞}<x|{(e^{Tε/ih})}^N{(e^{Vε/ih})}^N|x0>

を、|x>での完全性関係と運動量|p>での完全性関係で展開します。
完全性関係とは、あるベクトルの射影をすべて寄せ集めて足せば、元のベクトルである ということです。
つまり、あるベクトルを Aとすると、

     https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 A=Σ_{n}|x_n><x_n|A> =Σ_{n}a_n|x_n>

ということです。

1.まず、前々回の結果を、|x>の完全性関係で展開します。
  といっても、<x|(e^{Tε/ih'})N(e^{Vε/ih'})N |x0> の
  x0からxまでを、x_n に分割し(Π)、
  寄せ集めて足す(∫)だけです。(まぁ、N乗が、Π になると言うことです)

  https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 K(t-t0)=¥lim_{N→∞}∫dx_1、、、dx_{N-1}Π_{n=0}^{N-1}<x_{n+1}|{(e^{Tε/ih})}{(e^{Vε/ih})}|x_{n}>

  となります。

2.次に、|p>の完全性関係で展開します。(これは、完全性関係の定義通りの式になります)

  https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 K(t-t0)=¥lim_{N→∞}∫dx_1、、、dx_{N-1}∫dp_1、、、dp_{N-1} \\    Π_{n=0}^{N-1}<x_{n+1}|(e^{Tε/ih})|p_n><p_n|(e^{Vε/ih})|x_{n}>

  となります。
  この段階で、|p_n><p_n|は、pの固有ベクトルへの射影ですから、pやp2/2m(=T) を掛けることは、
  その固有値 つまり只の数を掛けることと変わりません(前回の記事のスペクトル展開の項を参照)
  したがって、HつまりTやVは、ブラ・ケットの外へ出せて、(注 Hの不定性については、後述)

  https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式K(t-t0)=¥lim_{N→∞}∫dx_1、、、dx_{N-1}∫dp_1、、、dp_{N-1} \\     Π_{n=0}^{N-1}{(e^{Tε/ih})(e^{Vε/ih})} <x_{n+1}|p_n><p_n|x_{n}>

  そして、Π(かけ算)は、eの肩の中では、Σ(足し算)になりますから、

    https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 K(t-t0)=¥lim_{N→∞}∫dx_1、、、dx_{N-1}∫dp_1、、、dp_{N-1} \\       e^{Σ_{n=0}^{N-1}(T+V)ε/ih} <x_{n+1}|p_n><p_n|x_{n}>

  で、ここからがミソ
  <p_n|x_n> や <x_n+1|p_n> を計算します。
  すると、
  <p|x> = 1/√2πh’{exp(-ipx/h’)}
  https://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/61737027.html 参照
  <x_n+1|p_n> = 1/√2πh’{exp(ip_n(x_n+1)/h’)}
  となります。
  したがって、<x{n+1}|p_n><p_n|x{n}> 
  = 1/2πh’{exp-(ip_n(x_n+1-x_n)/h’)}
  これを代入すると、

  https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 K(t-t0)=¥lim_{N→∞} (1/2π hbar )^N ∫dx_1、、、dx_{N-1}∫dp_1、、、dp_{N-1} \\     (e)^{Σ_{n=0}^{N-1}(ip_n(x_{n+1}ーx_n )/  \hbar )+(T+V)ε/i \hbar }   https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 K(t-t0)=¥lim_{N→∞} (1/2π hbar )^N∫dx_1、、、dx_{N-1}∫dp_1、、、dp_{N-1} \\     (e)^{Σ_{n=0}^{N-1}iε/ ¥hbar (p_n(x_{n+1}ーx_n/ε)-(T+V)}

  うっ、ピッタし本と同じ結果!!    3.あとは、N→∞のΣ は、積分になります。
  ∫,,,∫dx1,dx2、、、dx_N-1 というのは、xのとる経路についての積分ですから、
  τという変数を導入して ∫dx(τ) と書けます。
  また、∫,,,∫dp1,dp2、、、dpN-1 も、同様に、∫dp(τ) と書けますが、
  ここで、各微分dp
n を、2πh’ で割ると、係数(1/2πh’)N が消せます。

  また、p_n(x_n+1-x_n)/ε の項は、p dx/dt という古典力学の結果を使います。
  p dx/dt-H はラグラジュアンです。
  ラグラジュアンについては https://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/61396238.html 参照
  したがって、

  https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 K(t-t0)=∫dx(τ)∫dp(τ) e^{∫i/ \hbar (p ¥dot{x}-(T+V))dτ}

  https://rhcpf907.sakura.ne.jp/fml2tex/?式 ∴  K(t-t0)=∫dx(τ)dp(τ) e^{i/ \hbar ∫p ¥dot{x}-Hdτ}

  で、導出完了 //
  何故 (1/2πh’)N が無くなるのかわからなかったのですが、
  T_Nakaさんがお教え下さいました。あらためて、お礼申し上げます。
  T_Nakaさんにお教えて頂いた文献: https://members3.jcom.home.ne.jp/nososnd/ryosi/path.pdf
  に、dx(τ)、dp(τ) を Dx,Dpと記し、 これを「経路積分の測度」と言うそうです。

上記の表現を、ハミルトニアン経路積分 と呼ぶ
  ラグランジュアン経路積分は、次回 書きます。

説明:
  ここで導出したファインマン核の表現は、始点(x0、t0)から
  終点(x、t)の間に
  「粒子がとりうるxとp」全てについての和(積分
  になっている。
  その和の各項につく「重み」は、eの肩の積分(作用積分
  の値である。
  つまり、量子力学的粒子は、始点 から 終点
  までの間の経路として、あらゆる可能性がある
  ことを意味する。
  上記を導くために「完全性関係の式」を挿入したのは、
  このような意味があるわけです。
  もちろん、最大の「重み」がつく経路は、   eの肩の積分(作用積分)が最少になる経路ですが、
  これの証明は、次回「ラグランジュアン経路積分
  を導出した後、書きます。