<q|ψ>はq表示の波動関数、では<ψ’|ψ>は?
物理量q^は、 q^=∫q|q><q|dq です(スペクトル分解定理)
ここで、|q>は、固有値がqである場合のq^の固有ベクトル を意味します。 そして、q表示の波動関数は、状態ベクトルの「|q>の張る空間」への 射影|q><q|として
ψ(q)|q>=|q><q|ψ> として定義されます。 (ψ(q)|q>の張る空間は、状態ベクトル空間の部分空間)
つまり、<q|ψ>は、q表示の波動関数 です。
一方、<ψ’|ψ>は、|ψ>も|ψ’>も状態ベクトルです。 ファインマンⅤ によると 始状態を|s>、終状態を|x> とすると (この場合 |x>はx^の固有ベクトルのことではない)
<x|s> を「確率振幅」と定義しています。
|ψ’>を、|ψ0>のユニタリ発展とすると、 |ψ’>=U|ψ0>
<ψ’|ψ0>=<ψ0|U†|ψ0>
Uが、単位行列の場合、 <ψ0|U†|ψ0>=<ψ0|ψ0>=1 つまり、ψ’が何も変わっていない場合、<ψ’|ψ>=1
また、このユニタリ発展が時間発展の場合、 U=exp(-i Ht/h’) (ハミルトニアンHが、時間に依存しないとする)
<ψ’|ψ0>=<ψ0|exp(i Ht/h’) |ψ0>
|ψ0>が Hの固有ベクトルの時、H|ψ0>=E|ψ0>
<ψ’|ψ0>=exp(i Et/h’) これは、波動関数ψ(x,t)=ψ(x)ψ(t) のψ(t)ですから
この場合の確率振幅<ψ’|ψ>は「波動関数の時間部分」になります。
以降、プロパゲータとの関係を書きます。 (続)