教科書の間違い-粒子は わからないだけでどこか1点には居る
波動関数ψ(x,y,z)に広がりがある時、つまり、一般に位置の測定の前
主張1.粒子はどこかわからないが、必ずどこかの1点(x1,y1,z1)には居る
は、間違いであることを証明します。
(他の場所に居る可能性がないことを、他の場所での確率が0と定義)
米谷民明「量子と統計の物理」p51 に
「粒子は、x(座標)空間のどこかに必ず存在していなければならない」
とあります。(似た文言は、いろいろな本で見たことがあります)
この文言は、それなりに正しいです(不十分とは思いますが)
でも、普通の学生なら、これを「どこかの1点(x,y,z)に」と補ってとるでしょう。
そう補って考えたら、間違いであるということです。
証明:
主張1を否定するわけですが、この主張から、もっと緩い、
主張2.粒子は、 ある位置(例えばxの期待値)x0の左右のどっちか一方だけに居る
を考察することで、主張1を否定します。
x軸上のある位置(例えばxの期待値)x0の左右に
波動関数ψ(x)が、分布しているとすると
1=∫{-∞ to x0} ψ*(x)ψ(x)dx + ∫{x0 to +∞} ψ*(x)ψ(x)dx なので
これを f+g と置くと
x0から左半分の確率f≠0、右半分の確率g≠0です。
主張1で、粒子が存在する位置xを、仮にx1 だとします「仮定ー背理法」
とすれば、主張2では、xのある位置(例えばxの期待値)
x0より『小さい』状態|->であるか
『等しいか大きい』状態|+>であるか
に、測定前に決まり、
|->が100%か、そうでなければ|+>が100%かです。
(他方は、0%)
これでは、波動関数での左半分の確率f≠0、右半分の確率g≠0
という量子力学の理論計算と矛盾しています。
つまり、主張1の「仮定」と「量子力学」とは相容れません。
量子力学が、仮に正しいとすると、
主張1の「仮定」は否定されるので、
1の主張:
「粒子は わからないだけで、どこかのある1点(x1,y1,z1)には居る」
は間違いである!
(=実在的なものではない)
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この証明の帰結は、 位置以外の一般の物理量qの場合でも、
q軸上のあるq0の左右を同様に考えれば
物理量qは、ψ(q)が広がってれば、ひとつの値に定まっていない
=実在性がない
と言えます。